ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

森弘幸
株式会社きーとす 代表取締役

森弘幸MORI HIROYUKI

1986年 日本工業大学 電気工学科卒業
1986年 マスプロ電工(株)入社
2012年 株式会ミニー入社
2017年 株式会社きーとす 起業

2021年7月16日(金)

ゲスト森弘幸

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社きーとす 代表取締役 森 弘幸さんです。

宮藤:株式会社きーとすは、神奈川県の港北区にあるそうですが、どんなことをされている会社なんですか?

森 :主に駐車場と賃貸アパートの管理をしております。

宮藤:それは、大家さんってことですか?

森 :そうです。

宮藤:いただいたアンケートには「大家さんは、儲かるからいいわね!と言われるが、そんなことない!苦情との闘い」と書いてありますが、やっぱり苦情は多いですか?

森 :多いです。ゴミ問題が多いですね。分別を守らない。

宮藤:捨てちゃいけないものを捨てたりとか?

森 :分別されていないものが結構あります。混ぜたまま。

宮藤:へえ。それって最終的には大家さんの責任になっちゃうんですか?

森 :結局、収集に来ていただいて置いていかれちゃうんです。そうすると、ずっと残っちゃう。

宮藤:そうか。そしたらどうするんですか?〇〇さんの所に行って?

森 :そんなことはしませんよ(笑)個人情報だから。それはもう分別して、決まった日に出してあげるしかないですよ。

宮藤:そうなんだ。いい大家さんですね。いい大家さんって言うのも間違ってますけど(笑)それはでも、注意はしないんですね?

森 :一応張り紙はしますよ。「守りましょう」と。

宮藤:直接はないんだ?

森 :それはしないです。

宮藤:やっぱり時代ですかね。昔だったら怒られましたけどね。

森 :昔だったら開けて「何か手掛かりがないかな」ってやりますけど、今は個人情報があるからそんなことはできないです。あそこに置いたものはもう一応自分の持ち物じゃないんですよね。ゴミとはいえども。

宮藤:捨てた人のものじゃないってことですね。

森 :もうそこに置いちゃったら、横浜市のもの。

宮藤:なるほど。じゃ、置いていかれたらずっとありっぱなしですね。やってられないですね。そんな、お客さんからの苦情にもめげず、物件を紹介し続けている森さんが思う「不動産業界の問題点」を教えてください。

森 :宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、不動産屋さんが必要以上に家賃の値下げをするんですね。

宮藤:大家さんが「本当はこれぐらい家賃取りたい」のに、不動産屋さんは貸したいわけですもんね。

森 :そうです。

宮藤:それで大家さんに「下げましょう」って、間に入っている不動産屋さんがやるんだ?

森 :やります。そうすると、その地域全体がその相場になっちゃうんです。

宮藤:そうか。「あそこだけ安い」っていうわけにはいかないですもんね。

森 :そうです。そうすると、それに合わせる雰囲気になっちゃいますよね。合わせないですけど(笑)

宮藤:ああ(笑)家賃は、例えば前から住んでる人が8万円の家賃で住んでいたとして、不動産屋に言われて新しい人が7万5千円で貸しちゃったら、「あそこの家、5千円安いじゃん」ってなりますよね。あと、先程聞いたら、鍵を無くしたりした時に大家さんに借りに行っても大家さんは鍵持ってないらしいですね。
森 :今はコピーできない鍵なので。

宮藤:合鍵が作れない?

森 :作れないです。例えば、出来上がってメーカーさんから鍵が5本来ますよね。そうすると、僕らは不動産屋さんに5本全部お渡ししちゃうんですよ。

宮藤:ええっ。じゃ、開けられないってことですか?大家さんって開けられないんだ。

森 :そうです。

宮藤:昔は開けられましたよね?

森 :今はもう。で、不動産屋さんが1本保管して、残りの4本はご本人にお渡しする。

宮藤:じゃ、例えば、家に帰ってきて「鍵がない」っていう時、大家さんのところに行っても借りられないってことなんだ。

森 :実例でありましたけどね。「なんとかして。鍵あるでしょ?」って。「いや、今は預かってないんですよ」っていうことで。

宮藤:じゃ、不動産屋さんに行かなきゃいけないんだ。

森 :あると結局怪しまれるじゃないですか。「大家さんが入った」とか。

宮藤:うわー。世知辛い。あの、物件って海外の場合はだんだん価値が上がっていったりするって聞いたことがあるんですけど、日本ではそうならないんですか?

森 :日本ですと、木造だとだいたい30年ぐらいで寿命がきますよね。

宮藤:あっ。木造の家って寿命30年なんですか。

森 :だいたい30年。鉄筋コンクリートでも50年ぐらい。

宮藤:日本は木造が多いからやっぱり寿命も短いし。

森 :そうですね。あと、お買い上げになる時はみなさん30年とかローンを組んでいるじゃないですか。そうすると、払い終わるとだいたい壊れると。

宮藤:そうですね。30年ってことは。「ちょうど払い終わった」っていう時に家も寿命だっていう。

森 :あと、昔みたいに材料が違いますよね。今は合板とかですよね。昔は山から切ってきた杉の木で1本でやる。そういうやつだと長く使えるというのがありますけど、今のやつだと持たないですよね。

宮藤:そういう問題を解決するために、「物件の差別化。10年後を予測して行動することが必要だ」と書いていらっしゃるのですが、具体的にはどういう変化が必要なんですか?

森 :今、例えば「宅配ボックス」って付いているところがたくさんありますよね。あれ、実はうち、20年ぐらい前に付けたことがあるんですよ。その頃は全然認知されないんですよね。で、今になったらもう「宅配ボックス必要だ」っていう。

宮藤:そうですね。

森 :もっとわかりやすく言うと、昔の部屋はエアコン付いてないですよね。今はエアコンが付いていて当たり前ですよね。

宮藤:賃貸の家は、昔は付いてなかったですね。

森 :自分で付けてましたよね。今はもう、付いてないと借りてもらえない。

宮藤:宅配ボックスも、付いてて当たり前?

森 :に、なりつつあります。

宮藤:10年後がどうなっているかって、予測するの大変ですよね。

森 :今ちょっと流行りで、例えば「お風呂場に乾燥機付いてますよ」とかやっても、10年経つとそれが当たり前になっちゃうかもしれない。

宮藤:それでは別に特別なことにはならないんですね。

森 :だから、今入りたい人に「どういうところに入りたいか」っていう希望を聞いて、そういう部屋を作って常に先を見ていかないと。

宮藤:なるほど。お客さんのニーズに合わせてね。

森 :そうですね。だから、細かいことですけど、お風呂の坪数で「一坪お風呂」っていう、一軒家にあるようなお風呂をわざと物件に付けると、女性に受けがいいんですよ。

宮藤:「お風呂が他の賃貸マンションに比べて、うちのはお風呂は広いですよ」って。

森 :そうやって差別化して、「あそこの建物とは違うよ」と。

宮藤:そうか。「家賃は同じだけど、お風呂がその分広かったらそっちのほうを借りる」ってことだ。

森 :小さいことですけど、そういうことをやっていかないと差別化はできないですよね。

宮藤:へえ。森さんは、本業とは別に青色パトロールをされているということなんですが。

森 :最近始めました。

宮藤:青色パトロ―ルってどういうものなんですか?

森 :車に青色の回転灯を付けて、あと広報して自分の町の中をパトロールする。

宮藤:何を見ているんですか?

森 :公園とかに不審者がいないかとか、あとお子さんたちがちょうど帰る時間にやるので、「気を付けて帰ってね」とか。

宮藤:森さんにとって、そうやって見て回っていて「いい町」というのはどういう町だと思いますか?

森 :集積場でしょうか。

宮藤:やっぱりゴミ。

森 :あとは、掲示板。同じものがずっと日に焼けて貼ってあるようなところは、あまりいい町とは思えないですね。

宮藤:そうか。それは、誰が書き換えているんですか?自治体ですか?

森 :それは町会だと思います。住んでる方でやっている。行政から貼るものが来ますからそれを貼っているだけなんですけど、その貼り方ですよね。きれいに貼ってあると「あっ、管理されている」って。

宮藤:分別はでも、どちらかというと住んでる人の問題のような気がしますけどね。ちゃんとアナウンスしていないってことですもんね。

森 :賃貸物件ですと常に人が入れ替わるので、地域によって曜日も違うし、分け方も違うので。慣れた頃には引っ越されちゃうんですよね。

宮藤:そうか。新しく来た人にはちゃんと教えてあげないと。

森 :だから、その繰り返しですよね。

宮藤:ゴミ集積場を見れば、その町がどんな町かっていうのがわかると。

森 :わかりますね。結構、お年寄りとかが後で掃除しておいてくれたり、ネット畳んでくれたり。やっぱりそういう町はいい町ですよね。一人捨てると、もう、あとは次から次へと捨てられる…。それを防ぐためにも、目がいっているというのはいいんじゃないですかね。

宮藤:なるほど。ありがとうございます。

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