ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

町田眞由美
有限会社クローバープラミング 代表取締役

町田眞由美MACHIDA MAYUMI

高校卒業後20歳で結婚、専業主婦を7年間した後、2004年に起業

2021年2月12日(金)

ゲスト町田眞由美

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、有限会社クローバープラミング 代表取締役 町田眞由美さんです。

宮藤:クローバープラミングさんは、どんなことをしている会社なんでしょうか?

町田:主に水道事業をしています。

宮藤:水道事業?お水ですか?

町田:はい、お水です。水道工事も、それに関わる図面とか書類とか、全てオールマイティーにやっています。

宮藤:ということは、お客さんは建設会社の方になるわけですか?

町田:そうですね。マンションが建つ時とか、アパートが建つ時、戸建てが建つ時。それと、公共事業の東京都の水道局ですね。

宮藤:そして、経歴を拝見しますと、高校卒業後20歳で結婚して、7年間の専業主婦をした後に起業されたんですね。なんで今の水道のお仕事をやろうと思ったんですか?

町田:2人目の子どもが生まれて、道路を散歩中に水道工事を見かけたんですね。そしたら、大きい水道管の中がヘドロだらけで。

宮藤:えっ!

町田:本当に水道のお水が走っているのが、小さい穴だったんです。で、「うちの子どもにはこの水、飲ませたくない!」と思ったことから、始まったんです。

宮藤:たまたま工事しているのを見かけた水道管があまりにも汚かったから?

町田:そうです。

宮藤:それを見なかったらやってなかったかもしれないですね。

町田:やってなかったと思いますね。全然そういう頭もなかったですし。

宮藤:でも、それでやろうと思ってやるとなると、結構大変じゃないですか?最初は何から始めたんですか?

町田:とりあえず会社を作らなくちゃいけなかったので、行政書士さんなり、司法書士さんですか、書類を作ってくださる方に会社を興していただいて。

宮藤:その時点で何も知識とかスキルはない状態で?

町田:ないです。

宮藤:いきなり会社にしたんですか?すごいな!

町田:それで少しずつわかってきて、指定工事店を取らなくちゃいけないということで。その前に、一応起業したので今で言う派遣業みたいなことで、水道屋さんに従業員を派遣することをやりつつ、その資格を取得したんですね。で、指定工事店を取りました。

宮藤:それ、ご家族とかは反対されなかったですか?「水道の会社やろうと思うんだけど」って。

町田:なぜか、誰も反対がなかったんですよね。

宮藤:へぇー、よかったですね。

町田:よかったんだか悪かったんだかわからないですけど(笑)

宮藤:おもしろいですね。事前のアンケートには、ビジョンとして、「親切・丁寧・人の心を忘れない」そして、「子育て中の方に職場を提供する」というのがあるそうですが、これもご自身の経験からですか?

町田:そうですね。私自身、早くに母を亡くしまして。子育ては、まるっきり一人でやっていましたから。近所の方に助けられたり、パーマ屋さん行く時は「いいよ。預かってあげる!」って言われたりとか。そういう経験があったので、やっぱり働きたくて能力がある方でも、働けないでいる方がたくさんいると思うんですよ。

宮藤:なるほどなるほど。

町田:そういう方に職場を提供できたらなって思ってたんですよね。

宮藤:社員の方は女性が多いんですか?

町田:女性が多いです。工事現場の方はやっぱり男性のお仕事なんですけど、それに関わる図面を書いたりとかは、女性の方が繊細ですし、細やかですし。そうすると、パソコンで書きますから家でもできるじゃないですか。

宮藤:なるほど。じゃあ、それぞれに例えば、「子どもがいて、今日ちょっと学校の運動会があるのよ」って言ったら「休みなさい」みたいな?

町田:学校の行事は優先にしてもらっています。

宮藤:でも、大変ですね。

町田:やっぱり、お子さんだけの世界じゃなくて、お母さんたちの付き合いがお子さんにも影響するので。それは私も痛いほどわかっていますので、そういう場には率先して出てもらうようにしています。

宮藤:会社休んで?

町田:そうですね。

宮藤:いい会社ですね。

町田:その分働いてくれればいいわけですから。他の時に補っていただければ。だから、みんな割り振り方が上手ですし、私なんかよりもみんなしっかりしていて。自分のやるべきことがわかってますよね。私はあまり必要なくなってます。

宮藤:そんな町田さんが、仕事をしながら感じる、「ここを変えたい!」と思うことを教えて下さい。

町田:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、「男性社会」だったり「忖度」だったり… 思うところは、いろいろあります。

宮藤:僕、今日お会いするまで、水道業界に、女性の方がいっぱい働いているって思ってなかったです。

町田:そうですよね。割と私…先駆者ですね。先輩の方々でもいらっしゃるんですけど、工事現場に足を入れて、作業服着て、ヘルメット着て、現場に立つ女性としては…新しかったと思います。

宮藤:そういうところでストレスありますよね。男性ばっかりだと。

町田:ありますね。とりあえず言いたい事は言って、ケンカしまくってきましたね。

宮藤:(笑)ケンカしまくって!「忖度」というのは、どういうことですか?

町田:水道局さんの言葉に対して、「なんかおかしいな」と思っても言えないってことがあるんだと思います。

宮藤:それは、例えばどういう局面でですか?

町田:施工上できないようなことを設計されていても、それに対してきちんと言えない。でも、言わないと進まないじゃないですか。できないものはできないんですから。「じゃ、できなかったら次はこういう形がありますよ」って提案しないと、仕事は前に進まないので。やっぱりきちんと言うべきだと思うんですよね。

宮藤:例えば、お金がこの予算じゃできないとか、そういうこともあるわけですよね。

町田:そうですね。入札仕事は予算が最初に決まってますから。その範囲でやるっていうと、難しい場面がでてくるじゃないですか。赤字になってもやれって言われても、それは…。大変なことなので。

宮藤:だいぶ闘ってきましたか?それは。

町田:闘いましたね。

宮藤:それは、自分のところの社員のためにっていうことですもんね?

町田:そうですね。だから、基本的に社員たちは、生活のために仕事をしているわけです。それをやっぱり基本に考えたいんですよね。だから、あまり残業もしてほしくないです。

宮藤:現場がほとんど男性社会だと思うんですけど、そこで何か困ったこととか、腹が立ったこととかありますか?

町田:「なんでいるの?」とか、「何しに来てるの?」とか。

宮藤:いきなりですか!?

町田:そうですね。「あんた、なんでいるの?」みたいに言われる時はね…。

宮藤:「なんでいるの?」!? だって、自己紹介をしてるんですよね?

町田:してますね。有資格者だからいるわけです。だから、資格証いつも持って歩いてましたよ。

宮藤:本来、ほとんどの場合男の人が来るようなポジションなわけですもんね。

町田:そうですね。

宮藤:そうか。「なんでいるの?」はキツいですね。あと、事前のアンケートに書いていただいた、「役人根性から直さないと雲の上の人まで意見が届かない」というのは、どういうことですか?

町田:よく役所の書類ってハンコをいっぱい押すところがあるじゃないですか。あれって、どんどん上の人に回っていってハンコを押すじゃないですか。

宮藤:まあそうですよね。いちばん上までいかないとなかなかOKにならない。

町田:でも、本当に細かい説明を、いちばん上のハンコを押した人に「なぜこういう書類を出したか」って、わかってもらいたいですよね。その文章だけを読んで、その状況がわからないので。

宮藤:上にいけばいくほどわからないですよね、きっと。現場の気持ちとか。それは我々の業界もたぶん割と似てると思うんですけど、上の人たちは現場がどうなってるかわからないから、「なんでできないの?」っていう。

町田:いちばん辛いのは、例えば一本工事って言うんですけれども、1年ぐらいかかる長い工事をするんですね。その時に担当の水道局員の方が見てくださって、状況とかわかるんですけど、検査の時になるとなぜか東京都の水道局員の方がぽっと来て検査するわけです。そうすると、工事写真の出来栄えだったり、そういうのだけで判断されちゃうんですね。

宮藤:それまでずっと見てない人が?

町田:はい、だから「そこで掘った時に水が出て苦労したんだよ」とか、「こういう地盤が緩くて苦労したんだよ」とか、そういうことはわからないんですよ。それをたった1日の検査で採点をするんですよ。それが、おもしろくないんですよ。「あなたたちに何がわかるの?」って。

宮藤:やっぱりいろいろとありますね。

町田:こうしてできている東京都水道局のお水は世界に誇れる美味しいお水です!皆さんのお宅にそのお水を届けるため、日々努力している職人さん方がいる事を覚えておいてほしいです。

宮藤:勉強になりました。ありがとうございました!

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