ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

浅田大和
総合学習塾Weed 代表

浅田大和ASADA YAMATO

2011年 関西学院大学 卒業(中学・高校 英語科教員免許取得)
2011年 神戸大学 3年時編入学
2012年 神戸大学 退学(中学・高校 数学科教員免許取得)
2012年 公立中学校勤務
2014年 私立 中高一貫女子校勤務
2015年 公立高校 勤務
2018年 株式会社スクールTOMAS 入社
2019年 総合学習塾Weed 独立開業

2021年9月10日(金)

ゲスト浅田大和

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、総合学習塾Weed 代表 浅田大和さんです。

宮藤:どんな特徴のある塾なんでしょうか?

浅田:「豊かな人生を生徒自身が選んでいけるような人間に育って欲しい」という理念で、学習はAI教材を利用して、機械に授業を全部任せています。

宮藤:なにっ!?

浅田:最新型AIが入っているので、「どこを復習して勉強すればいいか」も全部提案してくれます。授業はその機械に全部任せて、逆に僕は生徒のメンタルケアだったり、勉強の仕方・進路指導をすることで、受験だけじゃなく人生を考える「総合的なケアをしたい」ということで、「総合学習塾」という屋号をとらせていただいております。

宮藤:AI教材って、どういうものなんですか?

浅田:その子の間違え方とか、答えを入力するまでの時間とか。そういったいろんなデータを組み合わせて、AIがわからないところを見つけていきます。

宮藤:うわー。すごいですね。

浅田:「今、学校では中3の内容をやっているけど、君はきっと、中1のここをまだできてないよね」ということをAIがどんどん言ってきて、復習する箇所がどんどん画面に出てきます。子どもたちはそれに沿って自分の弱点の単元をやっていけば、弱点も埋まっていきます。

宮藤:全ての教科でAIを使っているんですか?

浅田:中学生は英数国理社。高校生は英数国の3教科なんですけども。うちでは授業は全部AIに任せています。

宮藤:すごいな。世の中に塾はいっぱいありますけど、これを導入している塾ってそんなにないですよね?

浅田:たぶんAIに全て任せている塾は少ないと思います。

宮藤:今みたいなコロナ禍で、なかなか「対面の授業が受けられない」って変わってきてるから、より需要は増えそうですけどね。

浅田:そうですね。行政の方に実態を見てもらった時に、対面で喋ったりすることがないので、うちでは緊急事態宣言の間も営業していいという判断はいただきました。うちの塾生は何も困らずやっていますね。

宮藤:一人の先生がみんなの前で授業をするスタイルでは、もはやないってことですか?

浅田:ないです。パソコンの中に授業のパートであったり、練習問題、確認テスト、復習テストとか。中には定期テストの予想問題や練習問題みたいなのも全部入っていて。授業パートもアニメーションなんですけど。

宮藤:えっ、先生がアニメなんですか?

浅田:アニメです。声優さんもプロの方が入っているのですごい聞き取りやすくて、英語なんて完全にネイティブの発音なので、あれを聞いているだけでリスニングの練習にもなります。

宮藤:なるほどね。変なクセがある先生とか困りますもんね。

浅田:僕、正直母校の英語の先生、恩師の方は、ちょっとクセのある方で苦労したのはあるので(笑)

宮藤:黒板の板書が汚い先生とかね。そういうのがないってことだ。

浅田:はい。

宮藤:うわー、やばいなこれ(笑)僕、高校生の娘がいるんですけど、保護者はびっくりしないですか?

浅田:びっくりされます。僕自身もすごく気持ちがわかるんですけど、やっぱり「人に教えてほしい」と思われる保護者の方が多いので。

宮藤:そうだろうな(笑)

浅田:最初にうちの体験で来た時に、「えっ、パソコンしかない」と戸惑われる方はたくさんいらっしゃいますね。

宮藤:子どもたちはどうですか?

浅田:逆にすごく適応早いです。大人よりも断然適応早いですね。

宮藤:なるほど。だからって全部AIに任せて人間が何もしてないわけじゃないんですよね。さっきも話していましたけど、総合的に人間性みたいなところや精神面は、人間の先生が見ているわけですよね。

浅田:そうです。授業を機械に任せることで、保護者面談、生徒面談の時間が僕にはあるので。片っ端から生徒を呼んだり、保護者に来ていただいたりして面談もしています。僕自身が、塾をやる前に学校の教師をやっていたので、その経験も活かしながら。最近はやっぱり受験に目的がいきがちっていう塾も増えてきていて。僕はそれは反対な立場なので。

宮藤:なるほど。

浅田:「どこの高校や大学に入学したい、合格したい」じゃなくて、「将来何になりたい」とか「夢が何がある」とか。逆に夢がないんだったら、「こういう学校へ行ったら、いろんな選択肢をくれるよ」みたいな情報をどんどん与えて。で、「じゃ、それを叶えるためにはどういう勉強をしていけばいいか」と、目標から逆算していって。

宮藤:すごいな。

浅田:仮に中学生の子が高校入試受かっても、そこからまだ3年間勉強は続くので。やっぱり入試にフォーカスするんじゃなく、その後の高校生活も、僕としては楽しんでもらいたい。そこまで見通した相談を。

宮藤:もっと早く出会いたかったです。

宮藤:それでは、浅田さんが感じる「ここを変えたい」と思うことを教えていただけますでしょうか。

浅田:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、「志望校合格」がゴールで、その先のビジョンがない人が増えているんです。

宮藤:自分も確かにそうでしたけどね。「大学入れればどこでもいいや」って最終的になっちゃいましたしね。

浅田:僕自身もそうだったんです。

宮藤:でもそうすると、志望校に受かっただけで燃え尽きちゃった感じになりますよね。

浅田:そうですよね。それがもったいなくて。大阪のほうでは顕著に数字で出ていて。入ってから「学校が思ってたのと違った」「つまらない」っていう理由で辞めちゃう子って、数字にも表れてきているんですよね。

宮藤:ええっ。

浅田:東京とか他府県までは存じ上げないんですけど、大阪に関してでいうと、昭和から平成、令和と時代が移ってきて、公立の学校もどんどん特色を打ち出すようになってきています。「うちは四年制大学の進学に力入れてます」とか、「専門学校進学に力入れてます」とか、公立の学校もどんどん出していて。

宮藤:なるほどね。

浅田:例えばうちの生徒で「将来、保育士になりたい」っていう子がいた時に、保育士に進む道に力を入れてる学校に入れてあげたほうが絶対その子にとっていいんですよ。その子が偏差値50だったとしたら、だいたいの先生は「君は偏差値50だから、この50、51、49の中から選ぼう」みたいになってしまうんですよ。判断基準がそれしかないので。

宮藤:偏差値しかない。

浅田:だけど、僕の場合は、本人が保育士になりたいんだったら、偏差値52の高校と偏差値45の高校があって、「どっちに行っても保育士にはなれるよ。ただ、入った後の高校生活が変わるよ」「じゃあ、どっち目指す?」っていう話をしています。

宮藤:は~。そうか。

浅田:目標を上げれば入学した後も高いレベルの授業になっちゃうので。「なんとかカツカツで合格した」ぐらいだったら、入った後も勉強が大変なんですよ。

宮藤:そうですよね。

浅田:偏差値だけを追い求める進学は、僕はどうしても賛成できなくて。逆に45になると普段の学校の勉強には余裕が出るけども、周りのレベルは偏差値相応に変わってくるので、どっちを取るか。先程の例で言うと、将来保育士になった時に、「僕、どこどこ高校出身です」なんて言ってる保育士はいないんですよ。

宮藤:そうですよね。

浅田:極端に言うと、途中の学歴なんてどうでもいい。なので、その子のなりたいものが決まっていたら、逆算して。

宮藤:確かにそうですね。ちなみに今、子どもの数はどんどん減っていると思いますが、塾も減っているんですか?

浅田:いや、これが、日本全国で見た時に塾の数ってコンビニより多いと言われているんですよ。

宮藤:は~!

浅田:なので、今は2ブロック3ブロック歩けばコンビニよりも、塾のほうが見つかる時代になってきていて。

宮藤:子どもの数が減っているのに塾が増えているっていうのは、どういうことなんですか?

浅田:塾って、いろんな意味で独立しやすかったり、もしくは大手さんも教室を増やしやすい特性はあります。そうなった時に、塾の教室ばかり増えているけど、生徒は減っていて。今、講師のなり手もどんどん減っているんです。一時期「塾の講師はブラックバイト」っていうニュースにもなっていて。

宮藤:あっ、そうなんだ?

浅田:その追い打ちもあって。講師も減って、生徒も減って。それをたくさんの教室が取り合っている状況です。

宮藤:知らなかった。僕一回、塾で検索しただけで、ものすごいメール来ましたよ。

浅田:来ますね。必死ですからね。

宮藤:「今決めれば無料です!」みたいなメール、びっくりするぐらい来ましたよ。ちょっと調べただけなのに。

浅田:逆にうちも保護者の方からお問い合わせしていただいて「体験したいです」って来た時に、「入会しないとダメとかないですよね?」とよく聞かれるんですよ。よその塾さんでそういうことをやっているんだなっていうのを思いながら、「うちはそんなこと一切しません」と。

宮藤:必死ですよね。いやー、AI教材や塾の業界事情、驚きました。ありがとうございました。

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