ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

茶橋昭夫
株式会社テックビルケア 代表取締役社長

茶橋昭夫CHABASHI AKIO

1997年夏~1998年夏 ニュージーランドへ留学
1999年4月 関西大学工学部電気工学科 入学
2003年3月 関西大学 卒業
2003年4月 株式会社ホロンシステム入社(営業システムの開発)
2007年4月 株式会社ボーサイ(消防設備保守点検会社)
2010年4月 株式会社テックビルケアへ入社
2019年4月 株式会社テックビルケア 代表取締役 就任
現在に至る

2020年12月11日(金)

ゲスト茶橋昭夫

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社テックビルケア 代表取締役社長 茶橋昭夫さんです。

宮藤:株式会社テックビルケアさんは、会社を興されてどのくらいになるんですか?

茶橋:父が先代なんですけども、今年で38年目になります。

宮藤:そうですか。どんなことをされている会社なんでしょうか?

茶橋:広く言うとビルメンテナンス業にはなるんですけども。

宮藤:メンテナンス?

茶橋:はい。中でも建物の「建築防災」に関するいろんなメンテナンスとか、検査ですね。法律に基づいて行う検査や調査があるんですども、そういったことを広くやっています。

宮藤:火災とか、震災の時に大丈夫かとか、耐久性とか?

茶橋:そうですね。スプリンクラーとか消火器とか、そういった設備が有事の際にきっちり機能するかどうかを点検する頻度や内容が法律に定められているんですけども、それに基づいて弊社の有資格者が点検をして、お役所に届け出をするという。

宮藤:「大丈夫ですよ」と。代わりにやってくれるんだ。

茶橋:そうですね。専門的な設備になりますので、そういった知識を兼ね備えた者がやるということになっていますね。

宮藤:例えば東京に建ってる建物って、寿命的には限界なやつとかあるんですか?

茶橋:そうですね。最近の建物は「スクラップアンドビルド」と言いまして、壊して新しく建てるというよりかは、ひとつの建物を長く使おうという意識も多いので、そうなると自然と設備も劣化してきます。なので、必然的にメンテナンスとか、修理とか修繕っていうのはどんどん増えてきていますよね。

宮藤:一般の家庭は、やられないんですか?

茶橋:いわゆる「一軒家」の場合、法律的には有資格者に点検をさせる義務は、今のところないんです。

宮藤:逆に言うと、一般家庭じゃないところは義務付けられているんだ。

茶橋:そうなんです。一般家庭以外はだいたいそういう点検・報告の義務があるんだよっていうことが、割と認知されていないですね。

宮藤:知らないで経営している会社とか、知らないでそこでずっとやっている方とか、いるってことですね?

茶橋:そうですね。全てが全てじゃないんですけども、だいたい対象にはなってくるとは思います。

宮藤:いろいろと相談にも乗っていらっしゃるそうですね。

茶橋:例えば消防設備であれば、消防署が査察に入ったりするんですね。税務なら税務署が査察に入ったりとかあると思うんですけど、それと同じように消防署の署員が建物へ査察に入ります。「きっちり報告されてますか?」「設備は維持管理されてますか?」っていうところで指摘が入って、「これをいつまでに必ず改善しなさい」というような通知書が出されてしまんです。そうすると、ちょっと焦ってしまってどこか問い合わせをするところがないかってってことで、お問い合わせをいただきます。

宮藤:逆に言うと、そこまで気が付いてないんだ。そうなった時に初めて「あっ、これやらなきゃいけないんだ!」って気が付くんですね。

茶橋:そういうパターンは結構多いですね。

宮藤:我々、お芝居の劇場でよくありますよ。「消防の点検が入った」って。今はコロナ禍ですけど、昔、結構ぎゅうぎゅうでお客さんを詰めてた時に、「こんな入れちゃだめ」って消防の人が急にいきなり来て、何か言われたりっていうこともありました。消防の人って急に来るんだって初めてわかったりしましたね。

茶橋:劇場は特に、窓も少ないですもんね。本当に何かあった時に出入口に物とか置いてたりすると、かなり被害が大きくなる可能性が高いので。消防署もかなり気を付けて見ると思います。

宮藤:その日にたまたまいたお客さんを避難させなきゃいけないから、普段からちゃんとしなきゃいけないですもんね。

茶橋:そうですね。

宮藤:これまで、北海道から九州・沖縄まで、全国で6000件以上の依頼を受けている!すごいですね。そんな茶橋さんが、変えたいと思っている業界の問題点を教えてください。

茶橋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、まだまだ建物の点検や検査に関する届出や報告率が低すぎるんです。

宮藤:どうやったら改善されていくんですかね?

茶橋:一番効果的なのは、行政の方にもう少し査察に入る件数を…。マンパワー的な限界もあると思うんですけども、行政からやりなさいというような書面なり通知が出ると、実際に動く施設が多いので。脅しみたいにはなっちゃうんですけど、やっぱりそういうのが効果的だと思いますね。

宮藤:何かあった時に「防災がちゃんとしてなかった」って言われるのは、困りますもんね。

茶橋:そうなんです。普段使う設備ではなく、機能する場面になって初めて効果がわかるものなので。壊れていても普段は別に何もないですし、それは特段その方に何か不利益なことを被るものでもないので、どうしても後回し後回し…置き去りになってしまうのが現状なんですね。

宮藤:防災意識がちゃんとしている建物は壊れないですもんね。

茶橋:仰る通りですね。

宮藤:やっぱりその意識が低いと、何かある可能性が高いってことですよね。

茶橋:そうですね。病院とか老人福祉施設とか、そういった患者様とか入居者様の命を預かるような建物はやっぱり報告率はかなり高いんですけども。事務所ビルとか、言ったら自分の身内ばかりのところは報告率が低いですね。あとは、雑居ビル。いろんなテナントが入っているような雑居ビルは、オーナー様は別におられて、オーナー様はその建物に常時いるわけではないので。

宮藤:そうか。ビルにいる人は、借りてるだけですもんね。

茶橋:そうです。オーナーさんは貸してるだけ。

宮藤:それは確かに。防災意識を高く保つことは大事ですよね。

茶橋:そうですね。やっぱり万が一の時に使う設備ですので。どうしても、何年かに一度は大きな建物の火災で大きな犠牲が出る。そういった事例が出てしまってから、法律の改正であったり、そこから全国的に消防署が緊急査察に入るとか、そういったことの繰り返しになってしまうんです。

宮藤:それはもどかしいですね。そういう点検が必要だとか、そういう点検があるっていうことすら、我々一般の人は知らないですよね。

茶橋:まだまだ啓発活動が足りないのかな…っていう意識はあります。

宮藤:茶橋さんは、金額の方でも変えていきたい、改善していきたいところがあるっていうことなんですけど。

茶橋:そうですね。インターネット社会ですので、どの業界でもそうですが、やっぱり比較検討が容易にできる時代になってきたと言いますか。

宮藤:あっちよりこっちの方が安いとか?

茶橋:そうです。消防設備の点検にしても、建物の法廷検査にしても、やはり昔からある法律なんですけど、頼むところは知り合いのところとか、地元のところに頼もうってなるんです。そうなると、こういう「作業の仕事」っていうのは相場があってないようなもので、同じ内容でやるんですけど、A社さんとB社さんでは全く金額が違うっていうのはあります。全国からお見積りの問い合わせとか依頼を受けてやってみると、「そんなに安くなるの?」みたいなものとか、逆もたまにはありますけど。結構、相場感がバラついているところが多いんですね。

宮藤:じゃあ、何も知らないで高いお金を払っているってことだ。

茶橋:もちろん品質も大事ですが、金額も大事だと思うので、いろんな業者さんの適正価格をしっかり判断していただいて、ちゃんと報告率を上げていただくっていうところは、業界として変えていきたいと思いますね。

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