ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

福嶋宗樹
株式会社トツカ家電 代表取締役

福嶋宗樹FUKUSHIMA MUNEKI

1992年 関東学院大学卒業
1992年 東京日立家電入社
1995年(株)トツカ家電入社
2015年 同社代表取締役就任

2021年5月21日(金)

ゲスト福嶋宗樹

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社トツカ家電 代表取締役 福嶋宗樹さんです。

宮藤:トツカ家電さんは、どんな家電屋さんなんですか?

福嶋:地域密着型の電気屋で、俗に言う“町の電気屋さん”ですね。

宮藤:最近、本当に少なくなりましたよね。昔は本当にどこの町にもあったもんですけどね。

福嶋:ありましたよね。逆に大きい店がなかった時代はいっぱいあったと思いますけど。

宮藤:トツカ家電さんは、神奈川県横浜市戸塚区で50年以上。今量販店が多い中、50年もお店が続いてるってすごいですね。

福嶋:そういうふうに言ってもらえると、自分でもすごいなって思います。いいお客さんに恵まれたっていうのが一番大きいかなというのも感じますね。

宮藤:秘訣は何かあるんですか?

福嶋:昔はそういうお店しかなかったから、それなりに存在できたと思うんですけど。最近だと、そういうわけにもいかなくなったと言いますか。逆に、商品そのものよりお客さんの満足度、「物(モノ)より、事(コト)」に満足度を求めてきていますね。

宮藤:買う物に満足するんじゃなくて。

福嶋:そうです。例えば、自分の生活において「こう設置したほうが快適だ」とか、「ここにやっちゃうといずれ洗濯機のホースが破損する可能性があるから、まわりにテープをしたり」とか。

宮藤:「買ってから後のことが大事」ってことですよね。

福嶋:家電って10年使うじゃないですか。使ってなんぼのやつなので、そこを重点としてアドバイスしたりメンテナンスしたりっていうことが喜ばれていますね。あと、そういった出来事を毎月お客さんに伝える社外報「でんでん」というものがあって。最近は浸透しちゃって、「でんでんさん」って言われちゃったりします。

宮藤:ちょっと見ていいですか?これは何なんでしょうか。

福嶋:ニュースレターって言われるものなんですけど。「〇〇がいくらで安いですよ」というのは一切載せていなくて、「こんなことありました」っていういろんな出来事を掲載しています。

宮藤:「初めて免許書が金色に」ってありますね。

福嶋:意外にお客さんは“どうでもいいこと”にすごく食いついてくれたりします。

宮藤:紙っていうのが嬉しいですね。今はブログとかでやるじゃないですか。能動的に見に行かないと見れないものですけど、これはお店に置いてあったりするんですよね?

福嶋:できれば手配りのほうがいいんですけど、今は郵送しています。

宮藤:郵送!?

福嶋:だいたい顧客で決まったお客さんなので、リストがあります。

宮藤:ファンクラブですね!

福嶋:そうなるんですかね(笑)あとは、「飼ってる犬が12歳になりました」とか。傍から見たらどうでもいいことをね。

宮藤:そんな福嶋さん、アンケートのプロフィールを見ると、お名前の後ろに“マネモト”と書いてあるんですが、これは何ですか?

福嶋:元阪神タイガース監督の金本知憲さんのそっくりさんとして、ちょこちょこテレビとかこういったメディアに出させてもらったりしています。

宮藤:モノマネ芸人であるということですか?

福嶋:芸人では…。まあ、本業は電気屋なので。

宮藤:「フジテレビの制作会社から出演依頼の電話がかかってきた」って、でんでんに書いてありますね。写真も出てますもんね。タイガースのユニフォームも着て。今日もユニフォーム持ってきてくださって、すみません。ラジオなんですけど(笑)あっ!確かに似てる!ユニフォーム着てタイガースカラーになった時にわかりますね。ドラフトの時みたいになってますよ。

福嶋:オールドルーキーです。

宮藤:さて、そんな“マネモト”さんこと、福嶋さんが思う、業界の問題点を教えてください。

福嶋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、世の中、家電製品の扱いが、値段やポイントとかが重視されていて、商品自体も複雑化していて、対応できないお客さんが多くなっているんです。

宮藤:「機能と値段」に重きを置きすぎていると。それじゃいけないんですか?我々だいたい機能とそれに見合った値段かなって。同じ機能だったら安いほうとか、そういう選び方していますけど。

福嶋:いや、いけなくはないです。そうやって自分でなんでもできて、安く買って…っていうのでいい人であれば、それでいいんですが、そういう人ばっかりじゃないんです。今、私らのお店のお客さんは、世の中全体の8%ぐらいしかいないんですよ。「家電製品を買う」として、地域の家電屋さんから買う人は8%ぐらいしかいないんです。

宮藤:逆に言うと、90%は大型店で買うということだ?

福嶋:あとは、ネットとかスーパーとかですね。ですが、8%じゃちょっと少ない。実際に家電を求めて必要な人っていうのは3割いるんじゃないかって言われているので、その8%のところから30%までもっていくことができたらなという感じですね。

宮藤:そのために、どういうところで「大型店とは違う」って打ち出し方をしているんですか?

福嶋:結局、家電は10年ぐらいは使うと思うので、買った時だけじゃなくてその10年間。例えば、故障じゃないことを故障だと思って買い替える人がいるんですよ。

宮藤:「使い方がわかってないだけなんだよ」と?

福嶋:具体例で言うと、「冬場に突然暖房が効かなくなって冷たい風しか出てこなくなっちゃった。これは故障だ。買い替えよう」っていう人がいるんですけど、冬場の寒い湿気の多い時期に「霜取り運転」が入って、その時間は暖房が効かないんですよ。

宮藤:ああ、霜取りのために冷たい風が出ちゃうんですね。

福嶋:ちょうど、そういう日があったんです。ブログで「今日、暖房が効かなくなっても故障じゃないので、慌てて買いに行かないでください」って書いたら、まさしく買いに行こうとしてた人がいて。「あっ、ありがとう!危うく買いに行くところだった」ってお礼を言われたりとか。

宮藤:へぇー。

福嶋:むしろ、「買わない選択肢」を提供したりとか。そういう活動ですかね。

宮藤:そうですよね。本来だったら、それで買ってくれたら儲けなんですけどね。

福嶋:他のお店に買いに行って「暖房が出なくなったので買いに来ました」って言ったら、「そうですか。じゃ、これがオススメです」という話になると思うんですけど。

宮藤:そうですね。「ちょっと待ってください。使い方が…」とは言わなそうですね。我々も正直、後でちょっとした故障があって、家に来てもらわないといけないような場合って、大きい量販店だと対応してくれるのかもしれないけど、頼みづらかったりして。でも、町の電気屋さんだったら頼みやすいですよね。いつも見てもらっていれば。

福嶋:そうなんです。販売から、オススメ、設置、メンテナンスまで同一人物が全部やるので。他のお店の場合、販売する人、工事する人、持ってくる人、それぞれ違うじゃないですか。

宮藤:そうそう。

福嶋:この時代、誰か来たら不安っていうのもあって、「いつも同じ、知ってる人だったら」という人も、中にはいらっしゃるので。

宮藤:なるほどね。「これだったら、直すより買った方が早いですよ」ってよく言うじゃないですか。あれは、どこまで本当なんですかね?

福嶋:実際、それはあります。

宮藤:やっぱりそうなんですか。

福嶋:例えば、8~9年ぐらい使って故障して、「直らなくはない、部品もまだある」となって、「2万円で修理しました」と。でも、翌年で10年となると、部品の保有が10年でメーカーはなくなっちゃうんです。だから、ここで2万円かけて直して、それでまたシーズンが来て使おうってなった時に別の故障しちゃったら・・・

宮藤:もう部品が無いんだ。

福嶋:そうなんです。そうすると、今2万円かけて修理しちゃうの勿体ない。ただ、絶対壊れるってわけじゃないので。「そういう時期に差しかかってますけど、どうします?」っていう投げかけをします。

宮藤:そうなんだ。10年で部品って取っておかなくていいものになってるんですね。

福嶋:一応。最近はもっと回転部品とか、メーカーもより安全性を求めていて。洗濯機なんかも、商品に「推奨年数は7年~8年」って貼ってあります。

宮藤:それ以上使ってもいいけど、何かあった時に部品ないかもしれないですよとか?

福嶋:あとは「発火の恐れがあるから」とか。「より安全に」ということで、今はメーカーも推奨しているんです。

宮藤:知らなかった事情!ありがとうございます。

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