ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

井上武揚
アップライト税理士法人 / Up Light株式会社 代表社員 / 代表取締役

井上武揚INOUE TAKEAKI

2004年 和歌山県立田辺高等学校 卒業
2008年 神戸大学経済学部 卒業
2010年 監査法人入社(大阪府梅田)
2014年 税理士法人入社(東京都中央区)
2019年 アップライト税理士法人設立、代表社員就任
2020年 Up Light株式会社設立、代表取締役就任

2021年6月18日(金)

ゲスト井上武揚

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、アップライト税理士法人 代表社員 / Up Light株式会社 代表取締役 井上武揚さんです。

宮藤:井上さんは、公認会計士であり税理士ということですが、公認会計士と税理士ってどう違うんですか?

井上:一般的にあまりイメージがないと思うんですけど、公認会計士っていうのは上場企業、要は、大きな会社での監査業務を中心に行います。監査ってあまりピンとこない言葉ですよね。

宮藤:そうですね。

井上:会社の1年間の活動記録である決算書を、言い方を悪くすると「不正をしていないか」とか。

宮藤:チェックしている。見張っているというか。

井上:そうですね。監査で間違っていないかを見るというのが、公認会計士法という法律で公認会計士のみに許された独占業務なんて言われるんですけど。

宮藤:そうなんですか。

井上:というのがメインなんですけど、ただそれだけじゃなくて。例えば、M&Aとか会社が大きくなる瞬間のお手伝いとか、数字がらみですね。会社の数字まわりを、何でもこいって感じでやっています。

宮藤:それは、税理士も兼ねているんですか?

井上:そうですね。公認会計士になると、一定年数経つと税理士もやれるようになります。税理士さんのほうがたぶん、世間一般的に馴染みがありますよね。

宮藤:ありますね。

井上:税理士については、「税務」。法人税や消費税、所得税とか。税金まわりを専門としてやっているというところなんですね。なので、町中によく「〇〇税理士事務所」とあると思うんですけど、そういうところは税理士さんが税務業務を中心にやられているはずですね。

宮藤:ちなみに公認会計士って、会社が不正をしていないかということをチェックしているということになると、敵か味方かよくわからないですね。

井上:いいところをつきますね(笑)本当は味方なんですけど、敵と思われがちです。自分たちの仕事をチェックしに来るわけで、「何もありませんでした」だったらいいんですけど、「ここ違いますよ」とか言われると、きっと担当者としては嫌じゃないですか。気持ちとして。

宮藤:そうか。嫌ですね。

井上:事が大きくなると社長に報告されたりとか。

宮藤:完全に敵だな(笑)

井上:いかに歩み寄っているところを見せるかとか、腕の見せどころだと思うんですけど。

宮藤:その会社のために、良かれと思って言ってるわけですもんね。

井上:そうです。ただ、新聞に載るような大きな会社さん、いわゆる上場企業ですと、監査を受けることが義務になっていまして。で、やっぱり義務なので監査受けてる みたいなところがあってもしょうがないんですよ。本当は嫌だけど という。黒スーツ集団がやって来て、決算書とかをパラパラ見て、いろいろ「あれ違う」「これ違う」と。やっぱり敵と思われがちな商売かなとは思います。

宮藤:確かに。

井上:監査業務は公認会計士の仕事の柱ではあるものの、僕らはそれ以外のところ。例えば、大きな会社さんが「他の会社を買います」ってなった時のお手伝いとか、上場を目指しますって時のお手伝いとか。そういった、どちらかというと二人三脚でタッグを組んでやるような仕事も結構多いんですね。

宮藤:そうなんですか。全然わかってなかったです。僕、こないだドラマの設定で、永山絢斗くんの役を公認会計士にしようとしてたんですけど。

井上:あっ、そうなんですか?

宮藤:わからなすぎてやめたんです(笑)「弁護士にしておこうか。わからなすぎる!」って言ってやめたんですよ。それぐらい複雑というか、謎の仕事って思っていて。

井上:おっしゃる通りで、正体不明な集団だとは思いますね。私もこの仕事を知ったのって大学生になってからですし。税理士さんは知ってたんですけど、いろいろダイナミックな仕事もできるっていうことで公認会計士を選んだいきさつはあるんですけど。

宮藤:では、井上さんが、業界の「ここを変えたい!」と思っていることを教えていただけますか?

井上:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、「公認会計士」「税理士」と聞くと、真面目だとか、ガリ勉で面白味がなくて、カタいイメージ、暗いイメージを持たれがちな業界だと感じています。

宮藤:いやー。なんとなく警戒しちゃう気持ちはわかる。

井上:僕自身もそうですけど、周りで他の公認会計士・税理士と付き合いのある方ってたくさんいらっしゃって。いい評判は聞かないですよね、なかなか(笑)

宮藤:それ何なんだろう。イメージですか?

井上:自分で言うのもあれですけど、資格の試験としては難しいとされているんですね。なので、頭がいい人が多いのは事実だと思うんですが、「若い頃に受験勉強頑張ってきました」みたいな感じの方が多くて、遊び心があまりない人が多いのかなと感じますね。

宮藤:なるほど。

井上:もちろん、そうじゃない人もいます。僕は、遊びや趣味を大事にしながら、お客さんと仕事上の付き合いはもちろんですけど、他のところでも。例えば、一緒に飲みに行ったり、ゴルフ行ったり。仕事の話だけじゃなくて他の話をするとか。せっかく一緒にお仕事をする機会をいただいたので、お互いが楽しくハッピーにお仕事できたらいいなって思って仕事をしているんですね。

宮藤:なるほど。ちゃんとやるべき業務はやって、その上で雑談とかね。和気あいあいとやれるかどうかですよね。

井上:会社の決算書って、会社の人が日々一生懸命仕事をして1年間働いて頑張った結果が載ってくる書類なんですよ。そこにはいろんなものが吹き込まれているわけです。

宮藤:そうですよね。

井上:だから、ただ紙で出てくる数字というよりは、人々の活動と言ったら大げさですけど、そういう生き物だっていう意識を持って「より良くする方法はないかな?」と考えながら見る専門家が、まだまだこの業界は少ないんじゃないかなと思っていますね。

宮藤:事前のアンケートに「ただ業務をこなす人が一定数いる」とも書かれていますね。淡々と業務をこなす?

井上:もちろん、やらなければならないことは決まっています。誰がやっても結果は同じかもしれない。

宮藤:そうですよね。人によって数字が違ったら大変ですもんね。いい人だからいい数字になったらダメですよね。

井上:(笑)そうなんです。でも、やらなければいけないことをロボットのようにやって、「本当にこの数字なんですか?」みたいなマニュアル通りの会話をするだけなど…。

宮藤:あぁ…

井上:それで仕事が終わることもたくさんあります。ただ、監査される側はそれで面白いかっていう話で。

宮藤:面白すぎても困るけど、同じ結果が出るんなら、優しい人とか楽しい人のほうがいいですよね。

井上:ですよね。業務でマニュアルが、あるはあるんです。その通りこなせば終わるようにはなってることが多い。でも、淡々とこなしていては、それプラスアルファって絶対気づけない。例えば、会社で異変が起きている場合。そのチェックリストみたいなものがあって、でもチェックを付けているだけではわからないようなこと。担当者の悩みや、普段しないようなミスをしているとか。それだけでは気づけないことってあるんですよね。

宮藤:そうですよね。

井上:先程「ロボット」と申し上げましたけど、今「AI、AI」って言われているじゃないですか。これから先、僕が生きている間には、マニュアル通りの仕事はロボットがやってくれるようになるんじゃないかと思っています。僕はそれでいいと思いますね。

宮藤:同じ結果を確実に出すということにおいては…。でも、それだけだと人がやっている意味がなくないですか?

井上:そう、やっぱり人が手当しないといけないところって絶対にありますし、チェック業務だとロボット仕事に馴染むんですけど、さっき申し上げたような「会社が他の会社を買収する」とか、そういう局面のお仕事って、本当に日に日に、1日1日単位で状況が変わったりもしますし。

宮藤:なるほどね。

井上:いろんな関係者と交渉するとか、その素材を提供する仕事は、やっぱりロボットじゃできないところが結構あるんですね。

宮藤:そこは人と人ですもんね。会社を大きくするとか、そういう時はね。

井上:社長さんはもちろんですけど、その従業員も、ご家族もいらっしゃって。いろんな当事者がたくさんいる中で、そんなことにも気を回しながら。そういうのはロボットじゃできないとは思いますね。

宮藤:誰がやっても同じだからこそ、「ここに頼みたい」っていう特徴が必要だし、お客さんも、どれくらい満足できたかによって、次も頼むかどうか決めるわけですもんね。井上さん、お話、ありがとうございました!

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