ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

石鍋公載
有限会社フロント企画/アルファ薬局板橋店 取締役社長/管理薬剤師

石鍋公載ISHINABE KIMINORI

平成22年3月 北陸大学薬学部を卒業
平成23年4月 金沢市立病院薬剤室 がん専門薬剤師レジデントとして入職
平成23年12月 社会医療法人財団松原愛育会松原病院 薬剤課へ入職
平成30年1月 有限会社フロント企画アルファ薬局板橋店へ入職
令和元年6月 有限会社フロント企画 取締役社長へ就任
令和2年5月 一般社団法人板橋区薬剤師会 理事に就任

2021年6月25日(金)

ゲスト石鍋公載

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、有限会社フロント企画 取締役社長、アルファ薬局板橋店 管理薬剤師 石鍋公載さんです。

宮藤:薬剤師さんなんですね。事業内容について教えて下さい。

石鍋:患者さんが処方箋をお持ちいただいたものに対して、しっかりチェックしてお渡しすることと、一般的な市販薬の販売。「熱が出た」だったらロキソニンを売ったり。あとは、在宅で診られている患者さんも結構いらっしゃるので、先生からFAXとかで処方箋が届いたものに対して、患者さんの家に届けて、他に問題がないかチェックしたり、指導したりしています。

宮藤:配達もしてくれるんですね!特に紹介したい事業のポイントはありますか?

石鍋:患者さんがしっかり薬が扱えたら、病気で苦しむことも少なくなるので、それで一人ひとりがよりよい未来に進めるようにと、日々考えながら仕事をしています。

宮藤:そんな石鍋さんが、業界の「ここを変えたい!」と思うこと、教えていただけますか?

石鍋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、一部の薬局の薬剤師が、処方箋に書いてある薬を患者さんに渡すことだけが仕事になっていて、せっかく学んだ知識を生かせていないんです。

宮藤:そうなんですか!?僕は、薬局に行く時は「早く薬を出して」って気持ちになっちゃってる部分はありますね。お医者さんに言われてそれが紙に書いてあって、正直よくわかってないまま薬剤師さんに渡して、「これください」って状態で。

石鍋:健康な方だったら、それで問題ないこともあるんですけど。例えば、宮藤さんが腎臓を壊したとして、この薬が一般的な量だと多すぎてしまうので「これ、1日3錠じゃなくて1日2錠に減らしましょう」とか。そういったところはバックグラウンドをしっかり見て、それに対して処方箋を改めてチェックした上で安全に渡すのが薬剤師の仕事なんですよ。

宮藤:そうなんですね…。たまに、細かく聞いてくる薬剤師さんいますよね。「なんでこれって言われました?」「どういう症状ですか?」とか。

石鍋:それはいい薬剤師さんです。ご贔屓にしてあげてください(笑)

宮藤:例えば「処方箋に書いてある量だと明らかに多いな」って時、どうするんですか?

石鍋:「疑義照会」といって、ドクターに問い合わせをかけるんです。

宮藤:問い合わせって、直接電話をするってことですか?

石鍋:だいたい電話ですね。「FAXじゃないと受け付けない」というところもあるんですけど。

宮藤:その間、患者さんは?

石鍋:待ってます。

宮藤:「先生、これ3錠って書いてあるけど明らかに多いね。2錠じゃないですか?」っていうのをやっぱり聞かないといけないんだ。それはそうか。

石鍋:ええ。薬剤師は処方箋の内容を書き換える権限があるんですけど、それは先生に了承を取った上でっていう。それは義務なんです。ドクターの意図とずれてはいけないので。しっかり了解の上で「こうします」と。

宮藤:間違えがちな先生っているんですか?

石鍋:いますね…。

宮藤:「またこの先生か!」みたいな?

石鍋:そういう時は、「先生、これこうするのでいいですかね?」っていう風に。

宮藤:「違いますよ」って言ったら怒られますもんね。

石鍋:そうなんですよ。あとは、先生を信頼している患者さんの前で、「あの先生よく間違えるから」とか言っちゃったら大問題にもなりますし。

宮藤:「こう変えておいていいですか?」とか「変えておきますね」とか、やさしい言い方をするってことですか?

石鍋:だいたいそうなります。

宮藤:気を遣いますね。

石鍋:そうですね。これをどううまく伝えるかが、腕の見せどころでもあります。先生の気分を害したら、仕事上支障が出てしまいますので。

宮藤:先生も、別の患者さんを診てたりして、なかなか手が空かなかったりもしませんか?

石鍋:そうなんです。診察中に「それって決まりだからかけてるんでしょ?」とか、「今、忙しいから。とりあえずそれでいいから」みたいな。「あとでFAXで報告しておいて」みたいな感じでブチって切られることもあります。

宮藤:他にも、事前アンケートには「薬局薬剤師と病院薬剤師が違う」と。それって、業務が違うってことですか?

石鍋:方向性が若干違うんですよね。病院の薬剤師は入院している方のお薬出すのも仕事なんですけど、大学病院になると「治験」。新しい薬を管理するのを「治験コーディネーター」と言って、薬剤師の業務の一環だったりするんです。

宮藤:そうなんですか。

石鍋:あとは「この薬、胃薬だけど、うつにも効くかもしれないから、治験的に」とか、「こういった症例があって」というのを集めて論文にして発表するとか、そういったこともあります。薬局の薬剤師がそれを全くやらないかと言うとそういうわけでもないんですけど。やっぱり、薬局の薬剤師さんは基本的には患者さんにお薬を出す。患者さんとのコミュニケーションを密にして、しっかり患者さん一人ひとりのために仕事をしていると思います。

宮藤:患者さんと向き合うのが。

石鍋:ええ。なので、病院のほうは研究もあり、入院される患者さんのために動いてはいるんですけれども、ちょっと業務の質が違うところがあります。

宮藤:お互いがお互いのことどう思っているんですか?それは。

石鍋:病院のほうが、その業界にしっかり入っている分、研修もしっかりしていますし、すごく勉強されている先生方が多い。薬局のほうは結構バラつきがあるんですね。渡すことに特化して「なんでこんなことも知らないの!?」っていう方が稀にいます。バラつきが多いので、病院から見ると「ちょっと薬局レベル低いんじゃないの?」とか言われちゃうことも時々あったりするんですよね。

宮藤:病院のほうが「最前線にいるんだ」みたいな、何かがあるんですかね。だけど、患者さんと直接交流するのはむしろ薬局の方ですもんね。

石鍋:ええ。

宮藤:なるほど、全然知りませんでした。あと、事前のアンケートに、「医師や看護師、介護士やケアマネージャーなど、様々な職種の方に頼られるような薬局にしたい」と書いてあります。介護士さんとコミュニケーションを取るってあるんですか?実際は。

石鍋:うちはその事業はあまりやっていなかったので、最近始めたところです。今後はそれも力入れていきたいですね。そうすれば、患者さんが「今、こんなことで困っているから」っていう話を、なんでもかんでもドクターじゃなくて。「その問題だったらうちのほうがうまく解決できるかも」っていうことで。「この薬、1日3回だけど、お昼が抜けがちになっちゃう…」という話であれば、「それだったら先生、こっちの別の薬の1日1回のほうに」って。「1回飲めばいいようにまとめておくので、それのほうがよくないですか?」とか提案できるので。そうすれば、どんどん患者さんの質がブラッシュアップできるので。

宮藤:なるほど。患者さんにとっても、心強いですね。ありがとうございました!

石鍋:ありがとうございました。

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