ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

岩瀬啓介
西山歯科 理事長

岩瀬啓介IWASE KEISUKE

2021年8月20日(金)

ゲスト岩瀬啓介

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、西山歯科 理事長 岩瀬啓介さんです。

宮藤:西山歯科さんの、特に紹介したいビジョンを教えて下さい。

岩瀬:『患者さんが自ら喜んで来院出来る歯科医院作り』を第一のテーマで行っています。

宮藤:喜んで…行きたいんですけどね。どうしても、痛くなってから行くことになっちゃいますよね。

岩瀬:そうですね。「痛い」「腫れた」「取れた」っていうマイナスな面で来院される方が大勢いらっしゃると思います。

宮藤:そうですよね。

岩瀬:あとは、何かしら痛みがあっても、どうしても歯科医院のマイナスなイメージが先行される方がいらっしゃるので。その中で未病者の方もたくさんいらっしゃいます。でも本来は、健康で痛い思いもしなくて腫れる原因もなく、安定していることで、お口の中のトラブルも減りますし、安心してお食事を楽しんだり笑顔で毎日楽しく生活することができるので。本来は定期的に通っていただきたいです。

宮藤:どれぐらいの頻度で通うのがベストですか?

岩瀬:毎月の方もいますし、3~4か月に1回ぐらいで来院していただくことが多いです。
   その方々にあわせてご提案しています。

宮藤:「メンテナンスが大事」というのは、まだまだ伝わってないですか?

岩瀬:そうですね。まず、歯のマイナスな要素をなるべく早くゼロに戻すのが保険制度の部分だと思っています。大半のみなさんがやっていらっしゃるものがコチラです。でも、本来はプラスの部分。健康維持・増進ですとか、プラスのステージを、継続的に行うことが大事だと思います。データを集めますと、だいたい16%ぐらいの人が通っていらっしゃって。

宮藤:その3~4か月に1回、健診とか、別に痛くなくても行く人が16%?

岩瀬:はい。そうですね。

宮藤:まだ少ないですね。

岩瀬:残りの84%ぐらいの人が離脱してしまうので。まだまだメンテナンスっていう枠のところは認知が低いですね。

宮藤:なるほどね。僕はハガキが来たら行くことにしてるんですけどね。でも忙しいと「もうちょっと後でいいか」ってなっちゃうんですよね。

岩瀬:そうですよね。本当にそれがみなさんのお声だと思って。うちの場合ですと、そのプラスの部分を「ホワイトエッセンス」というフランチャイズの形でやらせてもらっています。歯のクリーニングだったり、ホワイトニングを中心にどんどん笑顔を作っていただければなと思って。ひとつの歯科医院の中でマイナスからゼロ、ゼロからプラスっていうところでひとつの軸を作ってやっています。ちなみに、「ホワイトエッセンス」のビジョンは「笑顔想像産業」で人々の笑顔を沢山作る事を第一に日々研鑽しています。我々の思い描くビジョンと合致している点が多く、また組織化を図る意味でも私自身学べる点が多いと感じています。

宮藤:なるほど、わかりました。それでは、お仕事で岩瀬さんが今大切にしていることを教えていただけますでしょうか?

岩瀬:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、歯医者というと技術優先になりがちですが、きちんとした組織を作ることが大事だと思うんです。

宮藤:歯医者さんの組織づくり…あまり聞いたことなかったです。対患者さんじゃなくて、スタッフ間ってことですよね?

岩瀬:そうですね。

宮藤:例えば、どういうことを考えているんですか?

岩瀬:日々、技術を学び・研くことを意識してやってはいますが、どちらかというと患者様・顧客の方に満足してもらうことが一番大事だと思います。そのためにはやっぱり技術だけの勉強をしていてもダメなので、組織として顧客満足度をどうやって上げていくかにフォーカスして、組織自体を変えようと取り組んでいます。

宮藤:要するに、スタッフの教育ですよね。技術を学ぶだけではないってことですか?

岩瀬:そうですね。今までの歯科のやり方は、人がいなくなって人が足りないから人を雇う。人足のために人を雇って、人が足りないから早く作業を覚えさせて、その作業をやらせることで、ひとまずの診療としては回るんですけど。「人を育てる」とか、「教育」の部分を我々も学んでこなかったので。そこが足りないところじゃないかなと考えています。

宮藤:事前のアンケートに書いてありますが、「社会人教育の『スタンス』の部分を学び、その上の『ポータブルスキル』をさらに強化」と。『ポータブルスキル』ってどういったものなんですか?

岩瀬:身につけてしまえばどこへでも持って行けるようなスキルですね。コミュニケーションや接遇力であったりとか。そういうことを身につけてもらうと、社会人としての教育の一部になるので、他の社会に行っても、一人の社会人としてやっていけるような形に。

宮藤:どこに行っても通用する接客とか、人との接し方とか、礼儀とか。その後に『テクニカルスキル』なんですね。

岩瀬:はい。なので、歯科だとテクニカルの部分だけ今まで教育していたんですけど、本来ベースの、スタンスの部分とかポータブルスキルも一緒に学んでもらえれば。

宮藤:どんなに腕のいい歯医者さんでも、感じ悪かったら嫌ですもんね。

岩瀬:そうですね。技術一辺倒だと「俺の技術どうだ!」っていう方もまだまだいらっしゃると思うんですけど、そうではなくて、患者さんのニーズをしっかりと聞くとか。そういうことも本来は大事だと思っています。

宮藤:その他、事前のアンケートには、「コンビニよりも多い歯科医院」と。歯医者さんってコンビニより多いんですか?

岩瀬:そうなんです。本当にそこら中に歯医者さんがあるので、顧客の立場からすると、どこへ行っても同じように思ってしまいがちだと思います。

宮藤:そうですね。差別化というか、何か特徴を作っていかないと、なかなかやっていけないですよね。

岩瀬:待っているだけではなく、自分たちからしっかりと発信することも、とても大事です。自分たちの色じゃないですけど、「こういったところが得意ですよ」「こういう歯医者さんですよ」と、どんどんアピールしながらやらないといけませんね。

宮藤:そして気になったのが、スタッフの方の働き方についても、珍しい取り組みをされているんですね?

岩瀬:はい。だいたいの歯科医院さんって、本当にギリギリの人数でやっているところが…ある程度仕方ない部分でもあるんですけど、うちの医院はある程度人を多く入れることで診療時間内に「診療に携わるチーム」と「練習するチーム」に分けています。診療は診療で回るし、教育は教育でできる。

宮藤:それは、営業時間内に?

岩瀬:そうですね。今までは「残業して練習」「朝早く来て練習」というところがありましたが、そうなると人の負担もかかりますし、効率的ではない。であれば、同じ時間帯に練習をするチームの枠を作ってしまうことで、無駄なく成長することもできるし、診療もできるんです。

宮藤:それって珍しいですよね。

岩瀬:あまり聞かないですけど、実際にやってみたら、スタッフがその時間の大切さをちゃんと理解してくれるので、無駄なく練習もできていると思います。

宮藤:そうか、練習している時間にも、ちゃんと給料が出るわけですもんね。

岩瀬:もちろんそうです。

宮藤:言うは易しですけどね。大変なことをされていますよね。そうなると。

岩瀬:どちらかというと、自分たちの今を見るというより、将来に向けて今があるという考え方に切り替えることができました。今やっていることが一時は無駄に思えるかもしれないけど、きっと将来花が咲くと思う。そういう意味で取り組んでいます。

宮藤:いろいろとチャレンジされているんですね。

岩瀬:人は貢献感を感じることで自分の存在価値を確かめられているのかもしれません。
人を育てる「教育訓練」、患者さん・顧客の方が笑顔で素敵な日々を過ごして頂くための「歯科医 療」「顧客満足度UP」、しっかりと国に税金を納められる「組織運営」、これら全てが自分の中の 社会貢献と捉えてこれからも継続して挑戦し続けます。

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