ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

加瀨義明
株式会社湘南財産パートナーズ 代表取締役

加瀨義明KASE YOSHIAKI

1967年生まれ
1989年 明治大学法学部法律学科卒業
同年、株式会社駿河銀行(現スルガ銀行株式会社)に入社するも、父の病気のため半年後に退社
神奈川県議会議員の秘書を経て、1992年~不動産業務に。
2012年 株式会社湘南財産パートナーズを設立 現在、同社代表取締役
一般社団法人IREM JAPAN理事も務める

2021年5月7日(金)

ゲスト加瀨義明

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社湘南財産パートナーズ 代表取締役 加瀨義明さんです。

宮藤:湘南財産パートナーズさんは、どんなお仕事をされている会社なんですか?

加瀬:不動産業としての売買・賃貸・管理。その他にも、不動産コンサルティング、相続の対策をコンサルティングしています。

宮藤:不動産と、相続の話も。相続って、やっぱりもめるんですか?(笑)

加瀬:親御さんが何も準備をしていないで相続を開始させちゃうと、ご兄弟が多いところはもめるケースがあります。分けられないものをどうするかということで。いっぱい資産がある人は、分けられるからそんなにもめないんですよ。あまりないところのほうが、むしろもめます。

宮藤:そうか、不動産ってそうですよね。土地がいっこだったらどうやって分けたらいいかわからないですもんね。

加瀬:例えば、そこに親と同居していたご長男家族が住んでいたりしたら、売ればその家はなくなっちゃうじゃないですか。お金で分けてあげられればそれでいいんですけど、そのお金がなかったり。

宮藤:あぁ…。その家の当事者はなかなかできないことが、第三者だとできたりすることありますもんね。

加瀬:そうですね。やっぱりある程度みなさんのご意向を聞きながら、事前に遺言書も含めて準備をしてもらうことによって、「親の気持ち」をいかに子どもに伝えるか。

宮藤:まさに、僕がこの間ドラマでやっていたことを!もっと早く取材したかったですけど(笑)特に紹介したい事業のポイントはありますか?

加瀬:不動産コンサル。いわゆる不動産に関する悩みをまず聞いて、それに対して解決策とかご提案をします。あと、アパートなんかでも第三者の業者さんに管理を頼んでいるオーナーさんから「空いちゃってなかなか決まらないんだけど、不動産屋さんも、お客さんがこないって言うだけなんだよ」と言われたら、そこは何が問題なのかを分析して、セカンドオピニオンとして「こういう風に言ったらどうですか?」と伝えたり。

宮藤:「入居者が決まらない」と待っているだけじゃなく、いろいろ手を打てるんですね。

加瀬:あとは、相続対策で、お客さんではそこそこ資産を持っていても、相続のために財産がどんどん減っていっちゃうという人たちもいました。そういう人たちにどうやったら相続財産を減らさずに、もしくは増やす方向で資産を組み替えていくかとか。それから、まさに先程の「もめない相続」をどうやって実現していくか。そういったことをお手伝いしています。

宮藤:家族同士とか兄弟同士だと言えないこととかあったり、もやもやしたりしますもんね。ちょっとプライドがあったり。そして、加瀬さんの経歴を拝見したんですが、いろいろと経験されてますよね。まず、大学卒業後、銀行に就職。普通に就職したんですね。

加瀬:はい。普通に地方銀行へ就職しました。

宮藤:でも、すぐ辞めちゃった?

加瀬:はい。半年ぐらいしてから、父がその当時自転車を作る工場をやってたんですけど、ヘルニアを悪化させちゃって動けなくなったんです。病院に連れていくのに車を運転して連れていくにしても平日じゃなきゃいけないし。それで多少休みもらったりもしてたんですけど、その頻度が増えそうだったので「これはちょっと銀行に迷惑かけちゃうよな」と。で、その当時付き合いがあった県議会議員がいたんですけども、その方にたまたま良い病院を紹介してもらったら、一か月入院したんですけど治っちゃったんですね。

宮藤:ええ!銀行辞める前だったら(笑)

加瀬:まだ正式な手続きの前で、「治ったんだから撤回してもいいよ」と言われたんですが、出したものはひっこみつかないので(笑)それで、その時お世話になった議員の秘書さんがちょうど辞めるタイミングもあったので、「私そちらをお手伝いします」って言って。

宮藤:人と人との繋がりで、捨てる神あれば拾う神あり。それで、秘書のお仕事をされていて?

加瀬:2年半ぐらいやって。ちょうどその後半で所帯を持ちました。妻の実家が不動産業をやってたんですけれど、その当時に老人ホームを設立したいとのことで手伝ってくれという話があって。ちょうどその時に議員が国政に出る選挙が控えてたので、「それを手伝いながらでもよければ。終わったら完全に籍を移しますから」ということで、二足の草鞋を履くような形で老人ホームの設立準備をしました。結果的に議員さんのほうが落選してしまって、老人ホームの設立についても行政側(町)で補助金の予算が当面組めそうもないということになり、不動産業務の方を手伝うようにはなったんですが。不動産の仕事をやっていて意外と面白いなと思ったので「ちゃんと資格取って専念しましょう」ってことで、そのまま20年そこに務めたんですね。

宮藤:それで独立されたってことですか?

加瀬:はい。後を継ぐ立場ではなかったので、いつかは出たほうがいいかなと。あと、自分がやりたいこともちょっと路線が違っていたので、ちょうど20年勤めて今から9年前に独立しました。

宮藤:なるほど。

宮藤:事前のアンケートには、「不動産業の面白さや切なさを経験している」ということですが、「切なさ」って何ですか?

加瀬:ある地主さんがなんの相続対策もしないで資産を持ってたんですけど、その方が体調の関係で収入がなくなってきて。不動産から得られる収入とかも作ってなかったので、売って生活費にしていく。どんどん家の周りを売っていって、その売ったお金をまた、たぶん家族のために増やそうと思って…ギャンブルに走っちゃったんですね。で、当然負けて、またすぐに売らなきゃならない。最後には自宅まで売らなきゃいけない。そういうお手伝いもせざるを得なかったというのは正直辛かったですね。

宮藤:それ、何か違うことで活用すれば増えたかもわからないのにね。

加瀬:もっと早くから相談を受けてたらいいんですけど、切羽詰まってからだったので。その繰り返しの悪循環。あと別件では、相続争いの中で不動産の売却をお手伝いすることになって、契約時、ご兄弟全員に立ち会っていただくんですけど、一言も口をきかない…。

宮藤:不動産をめぐって仲が悪くなっちゃったんですか?

加瀬:そうですね。本来は、長男はそこに家があって「住みたかった」と。でも、次男も「権利がある」と。「お金もらえないんだったら、もう売って分けてくれ。うちにもうちの事情があるから」みたいな感じで。それで最終的にはそれに妹さんも絡んでいたんで、妹さんも間に入ってくれればいいのだけど、「私も、もらえるものもらいたい」みたいになって…。

宮藤:これ他人事じゃないですよね。僕も妻側と実家と両方確実に、あと2回あるわけですから。

加瀬:「不動産の価値」でももめるんです。例えば、税務署の評価と時価ってやっぱり違うんですね。相続税を評価する時の数字と実際に売れる値段って差があるんですよ。評価安くしたいほうは税務署の評価を出すし、高くもらいたい人は当然「時価これだけだろ」ってなって。

宮藤:そんな加瀬さんが「業界のここを変えたい!」と感じることを教えてください。

加瀬:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、「不動産業者」というと、自分の利益のためにお客から搾取するようなちょっと悪いイメージが、未だに持たれているように感じられるんですよね。

宮藤:イメージですよね…。なんか「多めに取られちゃうんじゃないか」とか。

加瀬:「騙されちゃうんじゃないか」とか「安く買いたたかれちゃうんじゃないか」とか。だから、ご相談に来られる方がちゃんとした内容を話してくれるまですごく時間がかかるんですよ。相談に来る目的で来ていただいているんですけど、最初はすごくガードが堅い。

宮藤:警戒してるんだ。

加瀬:はい。「不動産業」という職種に対して、心配っていう部分がまだあるんだと思います。

宮藤:それを解消するために取り組んでいることはありますか?

加瀬:私が理事を務めている団体で「不動産業界は倫理が大事なんだ」と。倫理に基づいて、ましてお客さんの立場に立って喜んでもらう仕事ができて初めて報酬をいただくんだと。そういう意識を普及・啓蒙していくことをボランティアでやっています。

宮藤:それは「怪しくないよ!」「ちゃんと根拠があってこういうことを言ってるんだよ!」っていう。

加瀬:そうですね。全て客観的な事実をきちんと提示することですね。

宮藤:資料にあるんですが、「アメリカからの資格を日本に導入して、普及に努めている」と。それもその一環ですか?

加瀬:そうですね。IREM JAPANという一般社団法人なんですけれど。アメリカに全米不動産協会という大きな組織があって、その中にIREMという団体がありまして、そこがやっている、不動産の経営管理、管理会社の管理担当者の最高峰の資格と言われているCPM。それを日本に導入しました。日本語では「公認不動産経営管理士」と呼んでいますが、まさに「倫理に基づいて、オーナーの資産を最大価値化する仕事をしなさい」と。そのために、1年近くかけていろいろな勉強をして、試験を受けて合格したあと、倫理綱領を宣誓するとCPMの称号がもらえます。この資格を取ってから、オーナーにとって利益をもたらす提案ができるようになったことをリアルに実感しています。

宮藤:利用者にとっては、それが信用になるわけですよね。お話、ありがとうございました。

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