ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

川口真二
株式会社デック 代表取締役 会長

川口真二KAWAGUCHI SHINJI

1969年3月 私立聖光学院高等学校卒
1973年3月 慶應義塾大学法学部政治学科卒
1973年4月 鉄鋼商社入社
1982年6月 土井工事株式会社入社(現株式会社デック)
1992年4月 株式会社デックに社名変更
1992年12月 ㈱デック 代表取締社長就任
1996年3月 ㈱サステム 代表取締役社長就任
2018年4月 ㈱サステム 代表取締役会長就任
2019年6月 T-DEK㈱ 代表取締役社長就任
2019年11月 ㈱DKホールディング 取締役就任
2020年12月 ㈱デック 代表取締役会長就任

2020年12月11日(金)

ゲスト川口真二

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社デック 代表取締役会長 川口真二さんです。

宮藤:株式会社デックさんは、どういったことをしている会社なんですか?

川口:本社を横浜市に置いて、各地の水道のインフラ整備をしています。特に、老朽化した既設管が非常に問題になっていて、それを新しい工法で変えていこうという事業を中心です。

宮藤:地面の下を通っている水道管を、新しくする作業なんですね。

川口:震災もありまして、ここ10年くらいで老朽化した管の問題があらわになってきました。地震があったとき、耐震管じゃなかった!とか、破裂して使い物にならなかったとか。そうして、全国的に新しい管に入れ替えないとまずいと、クローズアップされてきたんです。

宮藤:デックさんは、場所を選ばず、環境に良い「SDF工法」というのを開発されたんですよね?

川口:単純に言いますと、既設管の中に、新しい水道管を入れていこうと。

宮藤:中に!?古いのの中に新しいのを。掘らなくていいんですか!

川口:そういうことです。一番良い例えは、血管のカテーテル。あのイメージを持ってもらえればと思います。

宮藤:もともとある血管に、管を入れるようなことですね。

川口:はい。引き込む穴と、引きずり出す穴になる、小さい立て坑は必要なんです。

宮藤:入口と出口ですね。

川口:ですが、管全体を掘り上げる必要はないので、線路の下や商店街の下、交差点の下やら、いちいち全部掘り上げたら大変な施工困難箇所でも対応できるんです。

宮藤:それは、電車は止められないし、お店も営業しないといけないし、なかなか工事できないですもんね。

川口:絶対、掘り上げられません。

宮藤:「SDF」というのは「ステンレス・ダイナミック・フレキ管工法」なんですね。

川口:私が命名しました。ステンレスのフレキ管を使って、ダイナミックに既設管を引っ張り込んで補修しようというイメージでつけました。

宮藤:フレキ管って、ジャバラみたいになってるんですね。これなら、形が変わりますもんね。

川口:はい。この管をドラムに巻いていって、

宮藤:ホースみたいに。

川口:入口になる立て坑の端に置いて、もう1つの出口の立て坑から、ウインチ車で引っ張っていくんです。

宮藤:この管は、長く使えるんですか?

川口:ステンレスは半永久的で、サビないし、耐震性もある。例えば台所のシンクを見ても、手入れが良ければずっと使えますよね。破損した場合も、金属なのでリサイクルできる。環境にやさしい材料です。そこに着目して、なおかつジャバラで曲がる。

宮藤:そんな川口さんが感じている、業界の問題点を教えて下さい。

川口:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、改善しなければならない古い水道管があまりに多いんです。

宮藤:そもそも、地面の下を通っている既設管は、全国でどれくらいの長さがあるんですか?

川口:66万キロです。月と地球の往復くらいでしょうか。

宮藤:月に行ったことないからわからないなぁ…(笑)

川口:地球1周が4万キロ。ですので、地球16周~17周ですね。

宮藤:日本の既設管だけで、地球16~17周分もあるんですか!その中で、変えないといけない既設管はどれくらいあるんですか?

川口:単純計算で、耐用年数が過ぎているのは10万キロ分。

宮藤:10万キロ…?

川口:日本縦断が4000キロ。そこから考えると、日本を12往復するくらいの管が、耐用年数がきてます。

宮藤:本来使えないものを使ってるということですよね?

川口:まだ、水道が動いているうちは大丈夫だろう…と思ってしまいますが、いつ漏水するかわからない。一応、40年というのが業界の常識になっています。

宮藤:日本を12往復するくらいの長さの、本来なら変えなきゃいけない管が地下にあると。普通に工事しようと思ったら、どれくらいかかるんですか?

川口:毎年5000キロはやってるんです。そうすると計算上は20年。ところが、また1年経つと、変えないといけない管が増えますよね。結局は66万キロ全部変えると想定すると、100年以上…。

宮藤:途方もないですね。その中で、SDF工法は、どれくらい広がっているんですか?

川口:まだまだですね。実際にやったのが、全国で280か所。SDF工法は施工困難箇所をやっています。一般的な幹線道路などの掘り起しがきくところは、従来型の工事で。さきほど話した線路下や商店街の下、交差点の下など、どうしてもできずに、手付かずだった箇所です。

宮藤:そして経営の苦労についても、事前のアンケートに書いて下さっています。

川口:そうですね。中小企業ですので何度も波を経験していますが、いつ倒産するかわからない状況があった時代もあります。

宮藤:倒産するかわからない状況ですか。

川口:水道も、普及率97%。横浜市は100%です。新設することが無いんです。すると発注がなくなります。ただ、今は各地で、より安心安全で長持ちする新しい水道管に入れ替える必要がありますので、その使命感をもって、水道業者は動いています。

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