ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

眞部日佐志
株式会社FiveLine 代表取締役

眞部日佐志MANABE HISASHI

1985年生まれ 福岡市出身。
高校中退後、17歳で内装業に就職、半年後に営業職に転職。経験を積んだ後、雇用先が倒産。当時の社長に「残る皆の雇用を作ってあげてくれ」と言われ2014年に起業。
現在は、従業員200名以上。「アジアを代表するウェルビーイングカンパニー」をビジョンとして経営中。

2021年4月23日(金)

ゲスト眞部日佐志

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社FiveLine 代表取締役 眞部日佐志さんです。

宮藤:株式会社Five Lineさんは、2014年、28歳の時に起業されたそうですが、きっかけは何ですか?

眞部:僕は高校を中退したんですけど、それから学校の先生に「内装業でもやりなさい」って言われて、住み込みで田舎に行かされてって言ったらアレですけど…。半年程そこで働かせていただいて。それで、キツすぎて「辞める」って言えなくて夜逃げして…。

宮藤:えっ!

眞部:それで実家に帰って、もっと明るそうな仕事をしたいなと思って。

宮藤:暗かった?

眞部:そうですね、パチンコと風俗の話しかなかったので。

宮藤:(笑)まあまあ、はいはい。

眞部:何か稼げる仕事がないかと思って求人誌を見ていたら、お金だけで選んだんですけど、それがたまたま営業職だったんですね。その後、営業として8年くらい働いて、「いつか起業できたらいいな」ぐらいにしか思っていなかったんですけど。すごく大好きな会社だったし地元の先輩がやってる会社で「そこで働きたい」ってずっと思っていたのですが、急遽、倒産しまして。

宮藤:会社が?

眞部:そうですね。国内の事業は順調だったんですけど、社長がイケイケすぎて上海に踊るクラブをいきなり買ってですね。

宮藤:作ったの?社長、すごいな。

眞部:それが超赤字で大失敗で、国内の事業もできなくなって。

宮藤:今のところ暗い話ですけど、大丈夫ですか?(笑)

眞部:すみません(笑)それで、みんなで急に全体ミーティングが始まって、「今月で倒産します」と。僕は社長のことが大好きだったので、社長に「僕たちどうしたらいいですかね?」って相談したら、「お前が社長しろ」って言われて。

宮藤:随分な・・・。今のところ、その社長の大好きな要素がないんですけど(笑)で、「残ってる彼らをなんとかしてやってくれ」。

眞部:そうです。どうせ仕事もなくなったところだし、自分で起業してうまくいかなくても一緒かなと思いまして。楽しそうだからやってみようと、それが2014年ですね。

宮藤:今までは雇用される側だったのが、急に雇用する立場になったわけですよね。やってみてどうでしたか?

眞部:「社長って、こんな思いでいつも仕事していたんだ」っていうのがすごく勉強になって。自分がどれだけ甘えた環境にいたか。社長のやさしさとか、全ての環境を当たり前にしていたなと。自分が与える側になると、ちょっとしたことでも恩着せがましくなったりとか。「これだけしてあげてるのに、なんでこれだけの感謝の気持ちしかないんだ!」みたいな。どんどん自分が小さく感じて、器を広げるしかなくなりました。

宮藤:なるほど。アンケートを見ると、Five Lineさんではかなりいろんなことをやられてますよね。一番力を入れているのはどういうところですか?

眞部:もともとの流れで、売上を一番占めているのが「新電力」ですね。全国の賃貸不動産と提携して、新入居さんのご紹介をいただいて自分たちの電気を使っていただく。

宮藤:今、結構増えてますよね、「どこの電気を使うか」。

眞部:そうですね。電気の自由化が2017年に始まったので。たくさんの業者が。

宮藤:他と違うところは何ですか?

眞部:細かい話なんですけど、不動産業者さんに報酬(バック)を出すんです。紹介料。それを、全国で一番高い報酬で出す。エンドユーザーさんというより、不動産の方に儲かってもらおう、喜んでもらおうっていうビジネスモデルでやっています。

宮藤:じゃ、不動産屋さんが「ぜひ使ってください」って宣伝してくれるってことだ。

眞部:はい。あとは、フィットネスの事業に力を入れています。

宮藤:「SPACE GYM」というジムがあるんですね。どのぐらいやっているんですか?

眞部:東京、大阪、福岡の6店舗で展開しています。

宮藤:他にも事業があると?

眞部:最近新しく力を入れているのが、外国人の就職先を見つける就職支援です。

宮藤:今聞いていると、全部同じ会社でやっているとは思えないぐらい手広くやっていますけど、「次はこれをやってみよう」とか、どうやって方向性を決めているんですか?

眞部:仕事を見つけるのは難航しますが、その時に出会った「本当にいいな」と縁を感じるものはなんでも取り入れていこうと思っています。業種や職種には全くこだわらずに「社会貢献度が高いか」と「需要があるか」と「みんなが楽しめてやれるか」という3つで選んでいます。

宮藤:おもしろいですね。この「新電力のストック事業」というのは、なんなんですか?

眞部:不動産からご紹介いただいてお客様が使うんですけど、そのお客様が毎月電気を使う分のストックが、毎月僕たちの売上に積み重なっていく形です。お水とかは、「これ1回売ったら100円」っていうショットビジネスになるんですけど。携帯の通話料とかも毎月毎月かかるみたいな…そういうのがストックで。電気代の一部がストックとして入ってくるというような「ストック事業」です。経営に安定をもたらす事業でもあるので、そちらにも力を入れています。

宮藤:そんな眞部さんが、経営をされる上で気づいたことがあるということで、それを教えてください。

眞部:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、どれだけ情熱的に社員たちが「頑張ります」と言っていても、3ヶ月楽しくなかったら9割の人って決意が変わってしまうんです。

宮藤:3ヶ月?それは、迷いが生じるってことですか?9割って結構ですね。どう対処するんですか?

眞部:事前に「正しい判断」ができるように。人生って常に選択の嵐なので、僕たちは商品の売り方を教えるとか覚えるというよりも、どちらかというと一回一回の判断、正しい判断をどれだけできるかっていうのを、常にみんなが意識するように動いていますね。

宮藤:要するに、部下に自分で判断させるってことですか?自分で判断できるように?

眞部:そうですね。僕たちが社内で一番意識しているのは、稲盛和夫さんも言ってたんですけど「原理原則に基づいて判断をする」っていう言葉が僕はすごく言語化されて。

宮藤:原理原則?

眞部:どうしても、「しんどいから、帰りたいから帰る」とか、自分の主観で物事を選択しがちなんですが、自分から見ての判断だけでなく、相手から見てもいいと思う判断、会社から見てもいいと思う判断、社会から見てもいいと思う判断、これの全てが一致するいい判断があるので。それを常に判断するようにやっていくと、人に迷惑をかけなかったり、私利私欲にまみれた判断にならなかったり。そういう正しい判断を意識していきましょうっていうのを社内のルール化としていくと、「3ヶ月楽しくない」ってなっても、そこで「楽しくないから、他のことをしようかな」にならなかったりしますね。

宮藤:「自分が必要とされている」ってことも考えないといけないですよね。「原理原則に基づいた判断」、ちょっと覚えて帰ります。ここに「まずは人間力」って書いてありますけど、眞部さんの考える「人間力の高い人」ってどんな人ですか?

眞部:自分がなぜ、少しはうまくいくことができたのかというと、自分のうまくいかなかったことも、うまくいったことも、知っておいたほうがいいと思って振り返ったことがあるんです。うまくいった時のターニングポイントを思い出してみると、自分の力でやったことって何もなかったんですよ。必ず誰かが手を差し伸べてくれたというか。誰かが助けてくれたとか、誰かが対処してくれたとか、誰かが応援してくれたとか。そこがあったので、その時に「助けたい」と思われる人間じゃなかったら助けてもらえなかったなと。常に誠実だったり、謙虚だったり、感謝の気持ちが強かったりとか。常に「助けてあげたいな」と思われる人でありたいと、考えたことがありましたね。

宮藤:最初の社長もそうですもんね。

眞部:そうですね、確かに。

宮藤:「お前に頼む」って言ったのは、他がいっぱいいたのに眞部さんを選んでいるわけですから。やっぱりそういう人だったんでしょうね。

眞部:僕も社長に人生助けられたので。借金も肩代わりしてくれたりとか、入院した時も病院にずっと付き添ってくれたりとかですね。

宮藤:やっぱりいい社長ですね(笑)人に信用されたり、人に頼りにされたり、あるいは「困ってたらなんとかしてあげよう」って思ってもらえる人間になることが、人間力ってことですね。

眞部:そうですかね。僕はそこが大事だと思っていて。というか、それしか僕は意識していなくて。技術面は、僕は何も。そこだけ気を付けていたら、道が開けていけたのがありました。

宮藤:業種は全然関係ないし、「何を売るか」とか「何で商売するか」はこだわってないけど、人っていうところに特化してますよね。考え方が。

眞部:今売上を占めている電気に関しても、僕、めちゃめちゃ頑張ってみた時期があったんですよ。「社長が売りまくってやろう」みたいな。その時、全然売れなくて。

宮藤:ええ!

眞部:今、業績1位にさせていただいているんですけど、何が1位かというと、別に頑張っていない時期にひょんなことから繋がった取引先がすごく大きかったりとか。

宮藤:人生、わからないものですね!頑張ってたからだと思いますけどね。ありがとうございます。

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