ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

森勇人
株式会社セブンスターバレット 代表取締役

森勇人MORI HAYATO

1984年生まれ。
高校生の頃よりプログラミングをはじめる。
2007年、コンピューター総合学園HALを卒業。
Web分野を中心にシステム設計・デザイン・セキュリティ・プロジェクト管理などの幅広い知識を武器とし、大~小様々な規模の企業を渡り歩く。
2018年、株式会社セブンスターバレットを設立。

2021年9月24日(金)

ゲスト森勇人

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社セブンスターバレット 代表取締役 森勇人さんです。

宮藤:株式会社セブンスターバレットさんは、どんなことをしている会社なんでしょうか?

森:お客様のご要望にあわせて、Web技術を中心とした業務支援システムをオーダーメイドで構築させていただいております。その他、要望にあわせて「こんな事できないか?」といったご相談は随時受け付けています。

宮藤:なるほど。エンジニアの方がいるってことですね。森さんは、エンジニアの方なんですか?

森:私もエンジニアとしても稼働しています。

宮藤:そうなんですね。特に紹介したいポイントはありますか?

森:まだまだ若い会社というところもあるんですけど、基本的には「IT」っていう技術自体は何かを成すためのきっかけ・手段と認識しているので、これしかやらないというよりは、お客様の良き相談相手でありたいというところは意識しています。

宮藤:確かに、みんながみんな、何をどうしたら良いかわかるわけじゃないですもんね。僕みたいな人もいますもんね。ちなみに値切られたりとかしないんですか?頼むほうも金額感わからないじゃないですか。

森:そうですね。最初から「これくらいの額しか出せないんだけど」とご相談いただければ、それにあわせてこちらからご提案を差し上げるスタイルなんですけど、中にはある程度この金額ってわかっていても、「ちょっとそこなんとかならない?」っていう交渉もあるにはあります。

宮藤:後でね。“気持ち”ってやつですよね。

森:そこは相談にはなるんですけども、特別こちらが納得できる理由がない場合は、やっぱりお断りさせていただくという形にはなりますね。

宮藤:目に見えないものだから、値段も付けづらいですよね。

森:特に最近は無料のアプリとかもいっぱいあるので、「これくらい無料でやってくれないの?」という話も中にはあります。

宮藤:でもそれは無料じゃない理由もちゃんとあるわけですもんね。

森:そうですね。やっぱりエンジニアも技術をお金にしているので。エンジニアを雇うのもタダではないですから。その人たちのお給料であったり、将来のお給料にかんでくる部分。そこの価値を守るために、基本的にはそういう値切り方はお断りさせていただくと。

宮藤:エンジニアの技術の価値を守るということですね。

森:そうです。

宮藤:森さんは、高校生の頃からプログラミングをやられていたと。プログラミングを高校生の時からってすごいですね。できるものなんですか?

森:たまたま単位制の高校というところもありまして、結構時間に融通が利いたんです。そこで独学でプログラミングをやっている子たちが周りに多くて。

宮藤:へえ。

森:最初、ずぶの素人だったんですけども。その人たちが話している内容になんとなく「ふんふんふん」と頷いているだけだったのが、「知らない」って言いたくなかったので、ちょっと話題合わせたいな…と思って、本屋さんに行ってパラパラパラっとそのジャンルの本を読んでいるうちに、だんだんわかるようになってきて。それから「自分でもちょっとやってみようかな」と。

宮藤:へえ。向いてたんでしょうね。

森:本当に最初は、当たり前ですけど、Googleとかでリンクがいっぱい出てくるじゃないですか。あのリンクをクリックすることにも「お金かかるんじゃないかな」とか、「危ないサイトに繋がっちゃうんじゃないかな」とか。「エッチなの開いたらどうしよう」とか思っていました(笑)

宮藤:そんなにウブだったんですね。それで高校の時にプログラミングを始めて、その後社会に出てからはどういったお仕事をされていたんですか?

森:当時ITブームでもあったので、そのまま専門学校に進みました。何かしらコンピューターを使った仕事をしたいなと考えていたんですが、その時には「CGを描きたい」という思いがあって、その勉強をしようと思ってたんですが、専門学校に入って「自分がどっちに向いているかな」って考えた時、最終的にこのプログラミングSEの道のほうが向いているなと。

宮藤:へえ。

森:そういう判断で、プログラミングだけじゃなくて、デザインやセキュリティ、あとはプロジェクトの運営っていういろんな分野を勉強して。結構、転職も重ねまして、大きいところ小さいところ渡り歩きました。

宮藤:技術がありますからね。

森:その中でいろいろ見てきたら、「自分の責任で全部やりたいな」という思いが出てきまして。それで、2018年に弊社を設立したんです。

宮藤:自分で起業したんですね。すごいな。事前アンケートによると、「経営業の苦労」として3つ書いてくださいました。まずは、「毎日が重圧との戦い」と。これはどういうことですか?

森:サラリーマン時代は、普通に通ってお給料もらうのが当たり前だと思っていたんですが、いざ自分が経営者ってなってみると、「会社にすごく守られていたな」と。これはやっぱり自分でやるとなると売り上げのコントロールとか、人件費をどう割いてくかとか、全部自分でやらなければならないので。毎日がプレッシャーですね。

宮藤:全部自分の責任ですもんね。でも、そこがやりがいにも繋がっているわけですよね。

森:もちろんです。

宮藤:そして、2つ目が「従業員との心のすれ違い」。

森:これは、他の経営者からもよく聞くんですが、我々のような中小企業は、一人ひとりの従業員を大事にしたいし、幸せになってほしいっていう思いが強いんですね。なんですが、やっぱり小さい企業だと「じゃあ、お給料やボーナスをドーンと上げる」のが辛い場合もありまして。

宮藤:そうですよね。

森:「こんなに頑張っているのに、上はわかってない」みたいな話が社員側から出てきたりして、そこに頭を悩ませることが結構周りの社長さんたちも含めて多いですね。

宮藤:「幸せになってほしい」ってこっちはこれだけ思っているのに、それが伝わらないってことですよね。

森:そうですね。

宮藤:そしてもうひとつ。「意外と自由じゃない」と。自由になりたかったのに!?

森:「自由になりたい」の一心で立ち上げて。もちろん、余裕ができたこともたくさんあるんですけども、「お客様に迷惑をかけない」とか、「作ったものの責任」とか、自由にやるがためにしがらみが増えた部分もあります。周りからは「自分の好きなようにできるからいいじゃない」とか言われるんですが、やっぱり従業員も大事にしたいしとかいろいろ考えると、「そんなに自由じゃないな」って(笑)

宮藤:悩んでますね(笑)

宮藤:そんな森さんが、業界の「ここを変えたい!」と思うことを教えてください。

森:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、エンジニアのモチベーション確保がとても難しいんです。

宮藤:これは先程の「従業員との心のすれ違い」にも通じるものですよね。なんででしょうね?

森:ちょっと前までは、メールが送れるだとか、Excelが触れるっていうだけでも「すごいことだ」という時代があったと思うんです。これがだんだん学習コストが下がったり、お客様のところに社員を派遣・常駐させてその時間に応じてお金をいただくSES契約というスタイルが一般的になってきまして。割と「スペシャリスト」というよりは「一般職」に近づいて、エンジニアの数は増えたと思うんです。

宮藤:うんうん。

森:でも、やっぱり目が届かないと言いますか。

宮藤:ああ。人の会社に働きに行くわけですもんね。

森:そうですね。もちろん、報告書とか「何をやっている」ということを把握はしているので「何もわからない」ことはないんですが、社員のお給料に反映しようと思った時に、売上は営業のほうについてしまいますし、結局評価する時に「働いた稼働時間」でしか評価できなくなってしまうんですね。あとは、お客様からの評価になるんですけど、進んで「この人の単価を上げてくれよ」とおっしゃる方はそうそういないんじゃないかなと。

宮藤:ああ。そうか。確かにそうですよね。

森:結局、自分の財布に響きますからね。

宮藤:そうですよね。そこまでいい人はいないですよね。

森:もちろん、全てが全てそうではないですけども。そうすると、社員としてもお給料上がらないんだったら頑張る気もあまり出なくなりますし。

宮藤:そういうモチベーションをキープするために森さんが考えていることは何かあるんですか?

森:弊社としては、このSESっていうスタイルは受けたほうが経営的には楽なんですけど、基本的に、現時点ではお断りしています。

宮藤:常駐はしないということですか。

森:はい。「時間発注」ではなく、やりたいことひとつひとつに価値を付けて請求させていただくっていう形になっているんです。

宮藤:なるほど。「このシステムをやるんだったらいくら」っていうことですか?

森:そうです。結局、時間でやってしまうと、時間に収まる限り「あれもこれも」になってしまって、予定していたこと以上のことをやってしまったりするので。

宮藤:それでお給料変わらないわけですもんね。

森:そうです。逆に言うと、早く終わらせた人たちが損をすることにもなるんですね。

宮藤:あ~。なるほど。

森:これは非常に問題点だと思っているところなので、「早く終わらせることは価値である」と。3日のものを2日で終わらせたんだったら、1日休んでいいって形にしてあげたいので。

宮藤:「じゃあ、あとの1日でついでにこれやってよ」っていうのは、間違ってますよね。確かにね。エンジニアからしてみたらいい会社ですね。

森:(笑)そう言っていただけると。そうしないと新しい技術を学ぶ気にもならないですし、段々惰性的にもなってしまうので。それは、結果的にお客様を損させてしまうというところもあると思います。

宮藤:なるほど。ありがとうございます。

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