ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

森和吉MORI KAZUYOSHI
1995年 渋谷青山通郵便局 入社
1998年 有限会社イマジン 入社
1999年 オリコン株式会社 入社
2004年 株式会社シーエー・モバイル 入社
2008年 株式会社モバイル&ゲームスタジオ 取締役就任(兼任)
2011年 ピーシーフェーズ株式会社 入社
2016年 株式会社インベスターズクラウド 入社
2018年 株式会社TATERU Funding 取締役就任
2019年 株式会社吉和の森 設立
ゲスト森和吉
TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。
日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。
お迎えしたのは、株式会社 吉和の森 代表取締役 森和吉さんです。

宮藤:森和吉さんで、会社の名前が「吉和の森」。逆にして、タモリ的な感じですね。会社の名前も覚えやすいですね。
森:ありがとうございます。ただ、ひとつ「失敗したな」と思うことがありまして。会社名で助詞の「の」が付くってあまりないんですが、受付や電話の時に「吉和の森の森です」って言うと、3回に1回くらいは聞き返されて。
宮藤:あ~。「森の森」だから(笑)
森:それは本当に失敗したなと、最近になって気付きました。
宮藤:「吉和の森さん…」いや、会社名だから「吉和の森」でいいのか。「吉和の森は…」なんか呼び捨てにしてるみたいだな(笑)言われてみると気になってきました。気を取り直して…事業内容は、主にWeb集客、デジタルマーケティング、ITコンサルティング、Webサイト制作、インターネットメディア運営など。プロフィールを見ると、起業されるまでにかなりいろんな会社で働かれていますね。
森:49歳になって、50手前で独立しました。
宮藤:2年前ですか。それまでの経歴がすごいですね。郵便局に勤めていたこともある。
森:そうです。一番実家に喜ばれていたのが、郵便局に勤めた時で。
宮藤:その後、有限会社イマジンへ。
森:そうです。その当時、「パソコン通信」っていうのが流行っていまして。
宮藤:流行ってましたね。
森:僕、映画を観たりゲームをしたりするのが好きで、そのゲーム評とか映画評を書いていて。そこからライターの道に走って、イマジンっていう会社で演劇雑誌とかアイドル雑誌を作って。で、そこからオリコンさんへ。
宮藤:オリコンの社員だったんですか?
森:そうなんですよ。そこで週刊誌の編集をやっていたんですが、当時オリコンを切り口にした着メロのサービスが始まりまして。
宮藤:あ~。ありましたね。
森:オリコンを切り口にダウンロードしてもらえばいいんじゃないか?という話になり、異動して、IT・インターネットの道を歩み始めました。
宮藤:それで、その後はゲームの会社に?
森:はい。ソーシャルゲームでガチャとか流行っている時でして、そこではゲームを作ったり、よくお店に行くとある「今アプリをダウンロードすると10%割引になります」というシステムを作ったり。そういうことをやる中で、ふとした出会いで前職の不動産の会社へ。不動産って、いまだにピンポン営業で「家買いませんか」「土地買いませんか」って電話がくる感じなんですけど、その会社はWebを使って目的意識があって、検索してきた人に対して家を売る。そこで自分はWebで集客することを始めました。
宮藤:じゃあ、今やっているのはそのWebで不動産の営業というか。
森:はい。家を買いたい人とか、売りたい人を集める仕事をやっています。
宮藤:「不動産クラウドファンディングの集客が得意」と事前のアンケートに書いてありますが、『不動産クラウドファンディング』って何ですか?
森:まだ2、3年ぐらいのビジネスでして。国土交通省の許認可を得ないとできないようなビジネスなんです。アパートやマンションを買う時は、何千万~何億かかりますが、いきなり億は出せないので、一人一口1万円ずつ集めて一緒に家を買いましょうと。
宮藤:例えばマンションの一部屋をいろんな人が共同で買う?
森:そうです。
宮藤:でも別にその人たちは住むわけじゃないんですよね?
森:それを、例えば1年間だけ大家さんになって、その後、欲しい人に売るんですよね。
宮藤:その1年間は大家さんだから家賃収入があるということですか?
森:そうです。例えば、1万円出すと5%分のせて最後返しますよというような感じで。
宮藤:何人で一部屋を買うんですか?
森:300人とか。
宮藤:ええっ!
森:極端な話、出すお金が一人一口1万円で、それが細かければ細かい程、人数が多くなってきて。
宮藤:そうですよね。
森:100万円ずつだと少なくなるんですけど、50人とか100人とか集まってくる感じですね。
宮藤:そうするとでも最初に出すお金は確かに少なくて済むけど、家賃でもらえる額も少ないですよね。本業じゃなくて副業的な感じなんだ?
森:そうですね。ノーリスクノーリターンみたいな感じですね。
宮藤:それで期限付きだから、1年だったら1年って。なるほど。いろいろ考えますね。
森:本当にこれはよく考えられているなと思ってまして。
宮藤:えっ、森さんが考えたわけじゃないんですか?
森:僕は違いますね。僕は便乗してるほうです(笑)
宮藤:「便乗してる」って言っちゃってる(笑)
森:幸いにもビジネスが始まって僕が携わることができたんですけど、スタートしてお客さんが集まってきてお金も集めることができるんですよ。結構大きい規模で会員8万人集めたりとか。
宮藤:お~。すごい。
森:金額で言うと50億円集めたり。

宮藤:会社はお一人でやっているんですよね。今後誰かを雇う予定はあるんですか?
森:自分自身の中で「売上いくらまで一人でやる」という線がありまして。
宮藤:なるほど。「年商いくら」とか、「いくら以上いったら人を雇う」とか?
森:はい。「1億円以上いったら」ですね。
宮藤:結構大変ですよ?1億円って。
森:人を雇うと、その人とその人の家族を支えなければならなくて。
宮藤:それが社長ですもんね(笑)
森:そうですよね(笑)それが結構プレッシャーで。しばらくは一人で切り盛りしていいかなと。
宮藤:なるほど。わかります、よくわかります。
森:なんかすみません。他の社長と違っていて(笑)
宮藤:全然いいんです。正直ですごく好感が持てます。ありがとうございます。そんな森さんが今感じている「業界の問題点」を教えていただけますでしょうか。
森:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、この業界、2、3年後に続けていられる保証がないんです。
宮藤:ライバルが多いってことですか?
森:そうです。
宮藤:確かに、割とカジュアルに始められる仕事ですもんね。
森:本当にそうなんです。気軽に誰でも簡単にできる仕事で、そうなってくると価格競争で安いところに仕事がいくとか。あとは、薄い情報でもすぐに仕事を立ち上げることができるので、安かろう悪かろうだったり。
宮藤:中にはね。
森:薄い情報だと、「この人頼んだんだけど、悪い商品掴まされた」みたいな感じになって、信頼も無くなって、なかなか仕事が継続できない人たちも周りに多いですね。
宮藤:それは問題ですね。確かに、割と最近できた仕事だから、いい人も悪い人も新規参入しやすいってことだ。そういった問題を解決するために、森さんが個人で取り組んでいることがあるということですが?
森:綺麗事に聞こえるんですけど、業界が発展しなければならないのと、信用を上げていかなければならない。多少なりとも自分にノウハウがあるので、マーケティング講座を開いて、ノウハウを伝えていければいいかなと。
宮藤:ちなみに森さんは青森の八戸出身で、地元に貢献する活動も考えているとか?
森:そうなんですよ。最近はコロナでなかなか実家に帰れなくなったんですけど、父が漁業、母が農作業をやっている、典型的な第一次産業の子どもなんです。たまに帰ると店も閉まっていてシャッター商店街になっている。僕がせっかくインターネットをやっているので、ネットを使って人を集めてお金を落としてもらって、みんなが潤うことができれば。そこをきっかけに元気にすることができればと、ずっと考えています。
宮藤:青森は行くとなると遠いですけど、今はネットの時代だからいくらでも買い物できますもんね。
森:そうですね。来ていただいて、良さを知って、その後に買い物したり…というのをうまく繋げる絵が描ければいいですね。
宮藤:八戸ってすごい朝市が有名ですよね。バーッていっぱい店が出て。
森:よくご存じですね、そうです。親に朝市に連れて行ってもらうのが至福の贅沢でした。遠足感覚で。
宮藤:ぜひ実現してください。
森:はい。頑張りたいと思います。
