ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

本橋秀気
よるのほいくえん こころのあくしゅ 園長

本橋秀気MOTOHASHI HIDEKI

1999年 認可保育園で保育に携わる仕事を開始。3園で保育士として働く
2013年 夜間保育に興味を持ち、約1年間、夜間保育園で修業
2014年 よるのほいくえん こころのあくしゅを創業(開園)

2020年11月27日(金)

ゲスト本橋秀気

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、よるのほいくえん こころのあくしゅ 園長 本橋秀気さんです。

宮藤:「よるのほいくえん」。夜にお子さんを預かる保育園ということですよね。

本橋:そうです。夜間に働く方、お母さまがメインなんですけど、「働く」以外でも気晴らしとか、煮詰まっちゃって虐待などになる前にちょっと預けて、お母さんが気分転換をしに行くとか。そういう時にお預けになる方もいらっしゃいます。

宮藤:定期的ではなく、「ちょっとここだけ」ということもあると。

本橋:そういう方もいらっしゃいます。

宮藤:それって、今まであまり知られてなかったですよね。というか、無かったですよね。

本橋:そうですね。あまり知られてないですね。私が知っている夜間保育園の歴史としては40数年はあるんですけど…。

宮藤:そんなにあるんですか!

本橋:あるんですけど、やっぱり世の中に周知されていないので、みなさん知らないんですよ…。

宮藤:僕は勝手にですけど、夜の街で働いているお母さんのお子さんを預けているのかと…そういうわけじゃないんだ。

本橋:そういう人がほとんどです。

宮藤:なるほど。だけど、そうじゃなくても預かってくれるんですね。

本橋:そうです。

宮藤:もうどれくらいやられてらっしゃるんですか?

本橋:あと3か月ちょっとで7年になります。クリスマス・イヴが、開園記念日なんです。クリスマスは、「ここあ」がここまで大きくなったんだな!っていうのを確認する日です。

宮藤:「こころのあくしゅ」で、略して「ここあ」ですね! さては。

本橋:はい。そうです!

宮藤:何歳くらいのお子さんを、どれぐらい、どんな感じで預かってるんですか?

本橋:下は0歳。0歳と言っても、結構小さい子も。

宮藤:産まれたばかりの子も?

本橋:産まれたばかりの子も、稀に。ホームページでは「10か月から」と書いているんですけど。そこまでいってない子もいます。やはり家庭状況もありますので、それを聞いちゃうと預かっちゃうんです…。

宮藤:へえ!

本橋:上は10歳、今は小学5年生のお子さんまで。

宮藤:そんな大きい子も!今、施設の中には、お子さんは何人いるんですか?

本橋:普段は1日平均10〜11人ですがコロナの影響もあり今は1日平均2~3人です。大きな保育園ではないので、自宅を改造して保育所を作っているんです。

宮藤:そうなんですか!そこにスタッフの方もいて?何人くらいで見ているんですか?

本橋:2人か3人です。

宮藤:本橋さんは、大学では政治学を専攻されていたそうですね。なぜ保育の道に?

本橋:大学に入る時は、政治の道を志していました。政治の勉強をしていたんですけど、大学在学中に高校時代から続いている友人より自閉症児者のボランティアを誘ってもらって、それをやったら思いのほか楽しくて。「子どもの面倒を見るには何か資格がいるのかな?」って調べたら「保育士」と出てきたので、「じゃあ保育の学校へ行こう」と。でも大学は卒業したいと思ったので、卒業してから保育の専門学校に行って保育士の資格を取りました。

宮藤:失礼ですけど… 風貌からは全くそれを感じない…(笑)

本橋:ですよねー(笑)お母さま達から、「組長じゃないの?」って。クレヨンしんちゃんじゃないですけど。

宮藤:ひどい!(笑)

本橋:そう!でも、「この振り幅がいいわね」って言われるんです。最初はそんな風に見えないのに、関わってみたら「いや、全然違うじゃん」って。

宮藤:その「振り幅」は、売りにしてった方がいいですよ! 絶対!

本橋:もう、振り幅がすごくて(笑)

宮藤:そんな本橋さんが感じる、この業界の課題を教えてください。

本橋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、やはりまだまだ夜間保育園が世間に周知されてないんです。

宮藤:確かに、知らないんですよね。テレビとかで見たことはあるんですけど、あまりいいニュースじゃなかったりするので…。

本橋:そうなんです…。

宮藤:そのために、どういう活動をされてますか?

本橋:こういうメディアの場をお借りして「あっ、夜間保育園っていうのがあるんだ」って知ってもらうことだったり。それが一番大きな効果を生むのではないかと思うんですけど、やはり基本になるのは地道なことで。子どもたちやお母さんへ真摯に接して、お子さんやお母さんたちが「こういう保育園があるんだよ」ってどんどん発信者になってもらって。

宮藤:「あそこにあるんだ」ってね。

本橋:そうですね。夜間保育は少数派ですけど、でも少数派も大切な存在であることを、世の中に認知していただきたいなって思っています。

宮藤:「あるのは知ってるけど、預けるのはちょっと後ろめたいな」っていう人もいませんか?

本橋:います。

宮藤:それを無くしていきたいですよね。

本橋:はい。それはメディアで訴えていきたいですね。夜間保育は、変なところではないし、普通だし、昼間と変わらない。ただ、昼間と夜と働いている時間帯が違うだけだよっていうのを、声を上げていきたいです。

宮藤:そんな本橋さんだからこそ、困っていることがあるそうですね。

本橋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、本当に大変そうなご家庭の話を伺ってしまうと、立ち上げた初期の頃は、保育料など、まず私が立て替えちゃったりしたこともあるんです。

宮藤:それはダメですよね。ダメっていうか…(笑)トラブルになったりしないんですか?

本橋:最初は、逃げられました。

宮藤:なるほど。最初から預けて、お金払わないで逃げちゃったんだ?

本橋:そうなんです。そういうこともあるんですけど、段々と経験を積んでみなさんに知ってもらうようになると、そういうトラブルはなくなってきて。時間はかかるけれどもしっかりと払っていただけるようになりました。信頼して、預けてくれる方が増えてきたので。

宮藤:「お金払えないんです」っていう時に「実は、これこれこうで…」っていう理由を聞いちゃったら、確かに「じゃあいいです」って言っちゃうか…。

本橋:もしかすると優しすぎるかもしれないです…。

宮藤:働いている保育士の方々はどうですか? 労働環境とか。

本橋:保育士の方もいるし、保育士の資格を持っていない保育スタッフの方もいらっしゃるんですけど、その方たちには、楽しく、自分のお家のように過ごしてもらえるように、私は配慮しています。やはり働くスタッフが寛いだ気持ちでいると、子どもたちにも伝わるし、お母さまたちにもちゃんと伝わるし。働いている側がピリピリしていたらダメですし、私はそこを重点的に、大事にしています。

宮藤:そうか。スタッフも夜働ける人じゃなきゃいけないわけですからね。

本橋:そうですね。十数年前、昼間の保育園で働いていた時に担任をしていた子が大きくなって、その教え子達が中心に手伝いに来てくれています。。

宮藤:ええ!いい話ですね、それ!「自分も子どもの面倒を見たい」って、保育に目覚めて?

本橋:はい。弟子が出来たような感じです。

アーカイブ