ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

岡野茂春
株式会社ガイアスジャパン 代表取締役

岡野茂春OKANO SHIGEHARU

1992年 東京工科大学工学部機械制御工学科卒業
1992年 株式会社メイテック入社
父の会社倒産により借金を抱え長野に帰省。昼間は、的屋業を行いながら夜はラーメン屋と塾講師のアルバイトを掛け持ちで借金を返済。その後、上田市内の製造業とWeb企画会社で働く
2006年7月株式会社ガイアスジャパンを設立

2021年4月23日(金)

ゲスト岡野茂春

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社ガイアスジャパン 代表取締役 岡野茂春さんです。

宮藤:株式会社ガイアスジャパンさんは、どんなことをしている会社なんですか?

岡野:主に、月々定額4,980円(ボーナス時33,000円)で車両代はもちろん、5年間の車検費用・自動車税・オイル交換などのメンテナンスが含まれた、カーライフの負担を軽減できる乗り方「定額エコノリくん」を展開している会社です。

宮藤:車を貸してくれるということですか?

岡野:貸す感覚で、リースという契約を結びます。安い金額なんですが、古い車というわけではなくて。新車登録から5年落ち以下の高年式車で、走行距離は5万キロ以下の低走行車の軽自動車が対象になっています。

宮藤:えっ、月々5,000円って安くないですか。1年で6万円?

岡野:ボーナスの時は33,000円ですけど。

宮藤:だとしても、10万円いかないくらいですか?

岡野:そうですね。均等払いにしますと、税別で9,980円。だから、月額1万円を切れますね。

宮藤:安くないですか!?どういうからくりがあるんですか?

岡野:5年後の車の残存価格。よく巷で「残価」って言い方をされるんですけど、これを設定することによって、月々の金額が実現しています。5年落ちの車の5年後なので10年落ちになるんですけれども、その10年落ちの車に、10万円とか15万円の残価を設定することで、その部分が圧縮されて、5年=60回で割る形で月々が安く抑えられる。そういう乗り方です。

宮藤:なるほど。よく考えましたね。車って、いい気になって買いがちですけど、そんなに乗らなかったりするじゃないですか。でもやっぱり「ここは車で」って時に、買う勇気もなかなか持てない。これは安いですね。どのくらい前からやっているんですか?

岡野:今から9年前ですね。2012年からスタートしておりました。

宮藤:その頃ってまだそんなに、大手の車の会社もそういうのやってないですよね。

岡野:そうですね。リースという乗り方はあったんですが、どちらかというと法人企業がやられている乗り方でして、一般のお客様は、こういう乗り方は支持されていなかった。そういう時代でしたね。

宮藤:一般の人が車をリースできるのって、あまり知られてないですよね。

岡野:そうですよね。

宮藤:ちなみに、岡野さんの経歴を拝見しますと、1992年に東京工科大学を卒業。就職をするものの、父の会社の倒産により借金を抱え長野に帰省。一回東京で就職したんですね。

岡野:そうです。

宮藤:昼間は的屋業、夜はラーメン屋と塾講師のアルバイトを掛け持ちで借金を返済。これは、お父さんの借金を返したということですか?

岡野:そうですね。主に父の借金があったんですね。

宮藤:昼間は的屋業って、焼きそば焼いたり?

岡野:網戸の張替えも、的屋業でして。軽トラックに乗って、スピーカーで「網戸の~張替え修理をしております~」って団地とかを回る仕事ですね。

宮藤:すごい。で、網戸張り替えて、そして夜はラーメン屋と塾講師。ラーメン屋の日と塾講師の日があるってことですか?

岡野:そうです。

宮藤:すごいな。これ、同じ役者でラーメン屋の役と塾講師の役やってくれって言われたら、無理ですよ(笑)しかも昼間は的屋業。

岡野:とにかく体を泣かせて稼ぐ。じゃないと、返済が追いつかないですよね。

宮藤:それで返した後に、長野県上田市内で製造業とWeb企画会社で働いたと。すごいな。働くのが好きなんじゃ…そういうわけではないのか。

岡野:必要に迫られてやっていた時代でしたね。

宮藤:大変でしたね、苦労しましたね。

岡野:いえいえ、ありがとうございます。20代の一番いい時に働いて使ってしまったという感じです。

宮藤:説得力がありますよね。そこから、現在の会社を設立するまでの経緯はどうなんですか?

岡野:もともと車の業界ではなかったんですけど、とある方、自分の車の師匠がいまして。神奈川のお生まれの方なんですが、その方との出会いで車のことをいろいろ教えていただいたんです。

宮藤:そんな岡野さんが感じる、経営の苦労を教えてください。

岡野:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、当時は「サブスク」なんて言葉はなくて、車を決まった月額で購入する仕組みを説明するのが大変でした。

宮藤:そうか、「サブスク」か!「サブスク」って言われ始めたのはここ2、3年ですもんね。どうやって説明してたんですか?

岡野:「定額」っていう言葉もそうなんですけど、要は、そもそも「月々リースで乗る」ということ自体が、お客様としてはイレギュラーな買い方だったんですよね。

宮藤:そうですよね。最初は自分のものにならないわけですからね。

岡野:なぜこの「定額エコノリくん」を作ったかと言いますと、とにかく車の負担を軽減したいと。先程の経歴ではないですけど、当時自分もお金がなかったわけで、田舎なので車の維持費が異常にかかっていたわけですよ。

宮藤:そうですよね。そしてまた、車がないと生活できないですからね。

岡野:そういった体験があったので、自分が車のお仕事をやらせていただく中で、お客様に対して「なるべく負担をおさえられる乗り方がないかな」っていうことをずっと考えておりまして。実は、「定額エコノリくん」もすぐにできたわけではなくて、そこに至るまでに6年ぐらいかかっている。なので、現金で買って、車検・税金・オイル交換とかそういったメンテナンスをやった累計よりも、月々×60回が安くなっているということが負担軽減できると。それをベースに設計しました。

宮藤:なるほど。乗らなくなって「じゃあ、もうこれいいです」ってなったら、その後はどうするんですか?

岡野:その場合は、弊社に戻していただければ。それで終わりです。

宮藤:「ゆくゆくは車ほしいけど、とりあえず今ないと困るから」っていう人は、いいですよね。

岡野:そうですね。そういった方も中にはいらっしゃいますね。

宮藤:なんだろう、携帯電話みたいな考え方かな。月々本体のお金も払ってますもんね。

岡野:そうですね。

宮藤:よく思いつきましたね。本当に。

岡野:そういう時代になりつつあった。昔、車を持つことがステータスで…“いつかはクラウン”ってキャッチコピーもありましたよね。実は携帯電話も平成の初期にあったと思うんですけども、今は誰しもが持つようになって、いかに安く携帯を持つかという時代になったのと同じように、車も持つことが重たくなってきた時代。

宮藤:そうですね。

岡野:いかに賢くリーズナブルに乗るか。要は、所有から使用へ変わっていったっていう。ちょっとした時代背景の後押しも、たぶんあったと思います。

宮藤:そうですね。車ってやっぱり、自分のこだわりでいこうと思えばいくらでもいけるけど、よく考えたら、別に俺、なんでもいいんだよな…ってこともありますもんね。そうか、昔は「いい車に乗っているってことがステータス」だったけど、今はそうじゃないってことだ。

岡野:はい。昔は、ものを持つことで自分を表現していた。「俺はこんなものを持ってるよ」「こんな高級なものを持ってるんだ」と。でも今は「個を表現する時代」になってきたっていうことも考えられるんですよね。自分自身を表現していくという。

宮藤:なるほど。そして、もうひとつ。事前アンケートに「業界的に、まだまだ旧態依然。大企業の通念が適応され、お客様にとって良いサービスが提供しづらい」と書いていただきました。これは、具体的にどういったことなんでしょう?

岡野:車の業界そのものが、どちらかというとメーカーが強い業界なんですね。大手のいろんな会社さんが当然あるんですが、その中で動かされている業界で。結構、巨大企業が多いんですよね。その業界の通念が実はあってですね。自分はもともと車の業界ではなかったので、客観的に見ると「あれ?」っていうことが結構ありまして。

宮藤:大手さんがやっていることとか?

岡野:そうですね。例えば、任意保険なんかもそうなんですけど、もともと代理店さんがいて任意保険を販売していく。我々車屋としても保険代理店になっているんですが、そういった代理店が販売して広がっていった保険も、今は通販・ネットで購入できたりとかね。

宮藤:そうなんですね。

岡野:任意保険は、通販のテレビCMで結構やっていると思うんですけども、ネットで申し込みできちゃうんですよね。「対人無制限」「対物無制限」「車両保険いくら」って組んでいったとして、あまり内容が変わらないのに価格が全然違う。

宮藤:へぇ~。

岡野:昔は靴底減らして営業する営業方式だったので代理店が必要だったのですが、今はインフラがインターネットになって、ネットで申し込みができる時代になってるんですよね。時代は変化してインフラが変わっているにも関わらず、まだそういったアナログなものが残っている。そのような業界ですね。

宮藤:それを解消するために、何か取り組んでいることなどありますか?

岡野:今、保険に関しては、代理店方式と通販方式の中間みたいな。もうちょっと負担軽減できて、かつ、代理店も関わっていますよと。代理店がいることによってお客様は安心感が当然ありますので、そこらへんのところをうまく新しい仕組みとして作れればなということを今考えております。

宮藤:なるほど。

岡野:当然、Webで申し込めない方もいらっしゃいますので。そこは代行してやって、かつ、何かあったら我々も対応しますよというような、安さと安心感を兼ね備えたものがあるといいなということを考えていますね。

宮藤:そして、「定額エコノリくんをさらに進化させた乗り方を開発中」と書いてありますが、さらに進化するんですか?

岡野:現時点で5年間という期間があるんですが、これをもうちょっと短くできないかなと。基本的に短くすると月々は高くはなるんですけど、それもあまり高くならずにできないかと。ある程度青写真はできているので、これをいつリリースするかというような段階に来ています。

宮藤:例えば3年とか?

岡野:はい。3年コースとか、2年コースとか。車の変化が今非常に激しいので、本当に持つことが重たい時代になってくる。なので、その2年間、3年間でどんどん乗り換えていって、新しいものに変えていく。そういった乗り方ができると、もっともっとお客様に喜んでいただけるかなと思っています。

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