ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

宍戸信照
有限会社信和土建 代表取締役

宍戸信照SHISHIDO NOBUAKI

1969年生まれ
家業であり、先代である父親が他人の保証人になったことや、親会社(元請け)の倒産による借金返済をする為、中学在学中から手伝い。そのまま職人の道へ

2021年1月8日(金)

ゲスト宍戸信照

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、有限会社 信和土建 代表取締役 宍戸信照さんです。

宮藤:信和土建さんは建設業で、主に住宅の基礎工事をされているそうで。そして宍戸さんは、職人さんなんですね?

宍戸:職人です。スタートは、中学2年のとき、家の手伝いからです。この道、もう38年くらいになります。

宮藤:え!どうしてそんな早くから?

宍戸:父親が建設業をやっていたんですが、他人の保証人になったり、親会社の倒産だったりで、会社が倒産してしまいまして、職人さんが誰もいなくなってしまったんです。そこから手伝いを始めました。

宮藤:やってみてどうでしたか?職人さんへの憧れはあったんですか?

宍戸:憧れは…無かったかもしれないですね(笑)でも、体を動かすのは嫌いじゃなかったので。体がキツイというより、オヤジがおっかなかったから、怖い方が先でした。

宮藤:そんな事情でも怖いんですね!?

宍戸:怖いですね(笑)

宮藤:職人さんの腕って、どういうところで差が出るものなんですか?

宍戸:「これでいいや」と思わないところ。自分より上の人はいるし、限りなく仕事が変化していくので、「自分ができる!」と思った人は、そこで終わってしまうんですよね。細かいところまで気を遣えるか。で、1回でも自分が納得してしまったら、そこから上にはいけなくなってしまうので。納得できる人は、ちょっと違うのかな…という気はします。

宮藤:満足せずに、どんどん腕を上げていくということですよね。

宍戸:そうですね。腕が上がったかの評価も周りがするだけで、自分ではわからないものなので、周りが見て「キレイになったね」とか、評価をいただいて初めて、腕が上がったのかなというところがあると思います。

宮藤:職人さんの仕事のやりがいというのは、どういうところですか?

宍戸:やり終えて、人からの評価をもらったときですね。お客さんの声だったり、自分でできてると思っても、他人から見ればダメだ…と言われることもあります。だから、やりがいはありますね。褒められたいなら、もっと丁寧にしなければいけないし、褒められたときは特に、やっていて良かったなと思いますね。

宮藤:信和土建さんの事業のポイントは、どういうところでしょうか?

宍戸:仕事を、丁寧に早くすること。職人になった以上、キレイに早くお金を稼ぐ。それがうちのモットーです。丁寧だけだと、利益があがらなくなりますから。決められた時間の中で、どれだけ他社と差がつくくらい、キレイにできるか。

宮藤:時間をかければいいってものじゃないですもんね。最近の若い職人さんは、どうですか?

宍戸:若いというと、30代くらいまでですよね。頑張る子は、とてもよくやります。自分で起業したい、親方になりたい!という子は、率先して努力をする。疲れて辞めてしまう人もいます。

宮藤:なり手はいますか?

宍戸:なり手は薄いです。薄いけど、職人になってしまえば、食べる道とか、人よりお金を稼ぐのは早くできる。そして自由もある。というところも、あると思うんですけどね。

宮藤:それでは、宍戸さんが感じる、業界の問題点を教えて下さい。

宍戸:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、僕たちは下請け工事が多いんですが、元請けさんは利益が出るけど、下請けはなかなか利益があがらなくて困っています。

宮藤:何が原因なんですか?

宍戸:元請けさんは宣伝広告費だったり、社員をたくさん抱えて人件費を多くとられてしまう分、元請けの取り分が多くなります。下請けは、人件費はもちろん、材料の高騰であったり、機材の先行投資があったり。そういった構造なのに、発注額は下がっているので、利益が少なくなってきます。また、大手は材料を仕入れる量が多いので、一気に買って材料価格を下げられますが、僕らはそんなに大きな会社じゃないので、大量仕入れができないですよね。

宮藤:そうすると、安く安く…というのは、難しいですよね?

宍戸:ローコストにするのは難しいところですね。

宮藤:事前アンケートには、「価格が安いのに過剰な工事を売りにしている会社もある」と書いてありますね。

宍戸:そうですね。結局は大きな会社が、うちの建物は良いですよ!と宣伝広告するんですが、事実、そうではないんじゃないかな?というところがあると思います。

宮藤:そんな状況の中で、信和土建さんは、どう戦っていらっしゃるんですか?

宍戸:自社加工・自社施工を多くして、既製品をなるべく買わない。鉄筋でも、加工される前の材料を仕入れて、自分のところで加工して、材料ロスをなくしています。必要なものを、そのサイズに合わせて作って、なおかつ残った半端を何かに使う。そういうところでだいぶコストを下げたり。あとは、既製品を買う場合も、なるべく早くお金を払って、少し交渉する。そういうやり方をしてますね。

宮藤:大変じゃないですか…むしろ。

宍戸:大変なのが仕事なので(笑)買ってきたもので済まそうとは、なかなか思わないですね。1つ1つ自分たちで作った方が、気持ちよくできますから。

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