ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

髙橋聡美
城西内科クリニック院長

髙橋聡美TAKAHASHI SATOMI

城西内科クリニック院長。東京都生まれ。
順天堂大学医学部卒。順天堂練馬病院糖尿病内分泌内科非常勤助教

医学博士、糖尿病療養指導医、認定臨床栄養医・指導医、内科認定医

米国マハリシ国際大学アーユルヴェーダ臨床医学ドクターベーシックコース終了

日本ホリスティック医学協会専門会員、日本スピリチュアル医学協会正会員

大事故と大病を経て、「真の健康とは病気の有無ではなく幸せであること」に気づく。肉体面への西洋医学による治療に加え、精神面へのアプローチも含めた医療で「真の健康」の一助を目指す。

2020年10月30日(金)

ゲスト髙橋聡美

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

今回お迎えしたのは、城西内科クリニック院長の髙橋聡美さんです。

宮藤:城西内科クリニックは、2014年に埼玉県の新座市で開院されたそうですが、どういったクリニックなんですか?

髙橋:内科全般の診療を行っています。
中でも糖尿病に力を入れていて、病気の啓蒙や、個々の患者さまの体質や生活習慣に
あわせた療養指導を、病院と連携しながらチームでサポートしています。

宮藤:さっそくですが、最近、コロナの影響で困っていることがあるそうですね?

髙橋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、コロナの影響で、モンスターペイシェントが増えてるんです。

宮藤:モンスターペアレント的な?患者さんが精神的に荒れているって事ですか?

髙橋:そうそう、その患者版です。特に今年は新型コロナで不安や恐怖を感じていて、何かと怒っている方が多いんです。

宮藤:病院に行くのも怖いと思われていますよね。

髙橋:4月くらいには、びっくりですが、髪の毛を剃ってゴーグルをしてきた人がいました。ビニール袋にお釣りを入れて!とか、クリニックの中に入らず、会計も外で済まて!と言う方も結構いらっしゃいました。スタッフが「私たちバイ菌扱いです…」と。

宮藤:スタッフの皆さん、疲弊しますね。

髙橋:そうなんです。発熱外来もやっていましたが、「今日はいっぱいで受けられない」と言うとキレる。他の患者さまと時間を分けないといけないですから昼休みを使って、防護服をきて、患者さまが触ったところはその都度ぜんぶ消毒してと、とても手間がかかります。対応人数にどうしても限りがあるのに、悲しくなりますよ。

他にも、インフルエンザ予防接種の予約を無理やり取ろうと長時間ごねたり、電話口で罵声を浴びせたりとか、ね。。

宮藤:今、みんなイライラしてますもんね。

髙橋:でも、イラついているのも理解できるんですよね。
脳から出ている幸せホルモンが、ドーパミン、セロトニン、オキシトシンと言われているんですけど。不安とか大きなショックを受けると、その刺激でドーパミンがノルアドレナリンに変わるんです。

宮藤:違うものに変わるんですか。

髙橋:そう。ノルアドレナリンが交感神経を高めて、緊張や怒りを引き起こすんです。
“ドッキリ”なんかでよくありますけど、不安になって「うわぁ!」となった後、怒りませんか?「何するんだよ !!」と。それをイメージしていただけると。

宮藤:わかった気になってきました!マイナスな方向になってしまうと。

髙橋:それに交感神経が高まると免疫も下がります。だから、おっとりゆったりの副交感神経優位の生活を送った方が良いんです。外の変化が大きくストレスなときこそ、いかに心地よく過ごすかというのが、すごく大事だと思います。

宮藤:事前のアンケートに「真の健康とは、病気の有無ではなく、幸せであること」と書いてありますね。

髙橋:私も大病をしています。40歳を過ぎて、子宮肉腫と言う悪性腫瘍になりました。
キャンサーギフトという言葉がありますが、がんになって初めて、当たり前だと思っていたことに感謝できたり、やりたいことをやろう!と思えたり。私だけじゃなく、人生観や生き方が変わって幸せを感じている方はいっぱいいます。

私はがんになって「あ、病は自分の心の表現なんだな」ってつくづく感じたんです。
・不調は、体が自身に何かを知らせていると言うこと。 病も自分の一部。
・だから病に敵意だけで挑まない。痛みに真っ向から対峙しない。
・自分の心の声に耳を傾け、その意味に気づいてあげると、それが本当の「癒し」になって症状が落ち着く。私の仕事はそのお手伝いなんだなって。

宮藤:そんな高橋さん、患者さんの心のケアをする上でも、医療全体で変えていきたいことがあるんですよね?
  
髙橋:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、西洋医学だけでは限界があるんです。

宮藤:我々が病院で受けている治療は西洋医学ですよね?

髙橋:「未病」という言葉があります。「体調がおかしいです」と病院に行って検査をする。でも「あなたは検査上、問題ありません」となると、「気のせいです、ストレスです、自律神経です」とか「精神科に行って下さい」と言われるんです。でも精神科に行くと、「薬を飲むほどじゃないし、内科で診てもらって」と言われる。

宮藤:それを未病というんですか。体調は悪いけど、何の病気かわからない。

髙橋:診断がつけば西洋医学で対応すれば良いんですが、何だか分からなくて、行き場を失った方がたくさんいらっしゃって。それを放っておくと、本当の病気になってしまう。

宮藤:病気になるかならないか。西洋医学の前にあると。

髙橋:昔から「病は気から」という言葉がありますよね。なのに、 西洋医学では「病」しか診ておらず、しかも西洋医学以外を医療として受け入れない考え方があります。
「気=こころの問題や幸せ感」の部分に目を向ける医師はなかなかいません。不安の多いこのご時世、今こそ心の安定に繋がるアプローチが必要なんです。

宮藤:こういった現状を改善すべく、どんな取り組みをしているんですか?

髙橋:WHOも健康を「肉体だけではなく、精神的、社会的に完全に幸福な状態であること」と定義しています。これからの時代は、人間を「からだbody/こころmind/いのちspirit」と捉えるホリスティック(全体的・包括的)医療が求められるようになると確信しています。
当院では、糖尿病の患者さまのケアがメインとなりますが、医師、看護師、栄養士、アロマセラピストが、医療チームとして糖尿病の療養指導やフットケアを行っています。1人の患者さまに複数の医療者が関わることで、より細やかに患者さまの状態(身体、心、プライベート)を把握し、信頼関係のもとで、患者さまと一緒に病に向き合います。肉体面への西洋医学による治療に加え、アーユルヴェーダの知識を交えて、精神面へもアプローチしていきます。希望者には、瞑想、ヨガ、こころのワークショップを不定期で開催しています。今後は「未病」に対しても、代替療法を柔軟に取り入れ、他職種の施術者とも連携して、真の健康を目指す医療の形を提案していきたいと考えています。

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