ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

田中一善
株式会社なのはな警備 代表取締役

田中一善TANAKA KAZUYOSHI

2002年國學院大學法学部卒業
2002年株式会社千葉測器入社(OA事務機販売)
2006年株式会社竹山(医療機器販売)
2011年株式会社なのはな警備取締役就任
2018年株式会社なのはな警備代表取締役就任

2020年10月9日(金)

ゲスト田中一善

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

今回は、株式会社なのはな警備の代表取締役 田中一善さんです。

宮藤:わ・・・若く見えますね。実際若いですか?

田中:いや、もう41です。

宮藤:わ・・・!!う・・・うぇぇぇ!41歳で代表取締役になれるのか!なのはな警備ということは、警備会社ですよね。

田中:千葉県流山市に会社を構えておりまして、千葉県北西部の、柏とか松戸とか。人口約130万人いる千葉県北西部で、交通誘導警備をメインとした仕事を行っています。創業23年目。私は2代目です。

宮藤:従業員はどれくらいいるんですか?

田中:約105名~110名ですね。

宮藤:警備会社では、多いですよね?

田中:警備業界は、非常に大きな会社が2社ありまして。それ以外は、約8500社あります。その中で100人以上の従業員を抱えてる会社は全体の8%~9%と言われています。ですので、なのはな警備は上位10%に入っています。

宮藤:そんな田中さんが、警備業界のここ変えたい!と思ってることがあるそうで。教えていただけますか?

田中:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、警備業界は、若手がどんどんやめて行ってしまう。若者がほとんどいないんです。

宮藤:確かに、交通警備で若い警備員さんって、あまり見ないですね…イッセイ尾形さんのネタでも、警備員って年をとった人がやるイメージありますもんね(笑)でも、僕やってましたよ!大学のとき、アルバイトで。若い人も一度はやるんじゃ?

田中:短期でまとめて稼げるということで、昔は学生のアルバイトも多かったです。でも今は、普通の飲食店でもアルバイトの時給が高くなって。そうなると警備業は、外に出て寒いとか、おじさんばかりで怖い人がいっぱいいるとか…イメージが。

宮藤:そうですねぇ…

田中:この仕事を長く続けていくイメージが湧かない職種なのかなと。

宮藤:それに対して、なのはな警備は何か対策をしているんですか?

田中:警備業は高齢者が定年退職をして就職するような仕事だと、世間的に思われています。私はこの業界で、若い人に魅力を感じてもらえる会社にしていきたいと考えています。特に、全業種中、一番年収が低いのが、警備業界の会社だったという統計もありました。

宮藤:年収、あげられないんですか?

田中:もともと高齢者の方が多く集まるところなので、単価で、国から決められたものがあって。警備業界も含めて全体で単価をあげて、若い人に働いてもらいたい…と動いています。

あとは、普通の会社で当たり前にある福利厚生が、警備業界ではなかなか完備されていないのも原因ではないかなと感じてます。

宮藤:福利厚生について、なのはな警備さんが対策していることはありますか?

田中:私どもの会社は、その先駆けとして、去年から働き方改革に取り組んでいます。有給休暇を、付与された日数をきちんと全部使っていいと。例えば、交通誘導の一番の弱点は、雨が降ると、雨天中止になってしまうこと。そうすると、収入はゼロです。そこを、雨で中止の分は有給に振り替えて良いとすると、収入が安定します。

宮藤:本人は行きたかったのに、雨だから行けなかったわけですもんね。他の会社ではやっていないんですか?

田中:法律上は、「有給を最低5日使って下さい」となっています。その5日間だけ使わせる会社は多いけど、フルで使って下さいという会社は、業界でもほとんどありません。

宮藤:以前、番組で、20代のアルバイトの警備員さんたちの話を聞いたんですが、例えば建物の警備をしていて、「市民の方と交流する時に、自分たちは結局何もできない、無力だ」ということが悩みだと言っていました。どういうことを変えれば、皆さんがもうちょっと良い意識を持って働いてもらえるんですかね?

田中:そのお話を聞いて思うのは、警備業法という法律がありまして、我々警備員は、特別な権限があるわけではないと、規定されています。全ての仕事に対して、お願いをしなければいけないんですね。頭を下げなきゃいけない。

宮藤:そうか!「信号青だけど、ちょっと止まって下さい」とか。あれは権限があるわけじゃないんですね。「工事してるからちょっとすいません」と、お願いしなきゃいけないですもんね。

田中:はい。我々がきちんと交通誘導をしないと、事故が本当に増えるんですよ。一般の方がすごく不安に思います。その若い人も、無力ではないんです。私どもの交通誘導警備は特にそうなんですが、警備員として仕事をしないと、工事ができません。

宮藤:そうですよね。そこは誇りを持ってほしいですね。

田中:また、そのクレームが全て工事現場の方にかかってしまうと、作業が止まってしまいます。そうならないために仕事をして、社会貢献をしていることが、非常にわかりやすいと思っています。

宮藤:社員の方たちには、どんな教育をされているんですか?

田中:一番大切にしているのは、一般常識。あとは、挨拶や返事、身だしなみ。これらがちゃんとしていない人に、「止まって下さい」とお願いされても…。一般常識のある方々を現場に配置すると、ほとんどクレームがこないんです。ですが、普段から言い方・態度が悪い人が現場に立つと、クレームになってしまう。そういったところを教育しています。

宮藤:気持ち良い人いますもんね。「ありがとうございます!」って言われたら、止まろうかな…って思いますし。それが横柄だと「なんで止まらなきゃいけないんだよ!」って思いますもんね、こっちは。

では最後に、若い世代はもちろん、これから警備業界に入る可能性がある人たちに向けて、メッセージをお願いします。

田中:警備業に対して、皆様は「3K」のイメージがあるかもしれません。でも警備の仕事は、これから皆様が社会に出て仕事をしていく上での最低限の社会常識や基本動作を学ぶことができる登竜門的な仕事だと思っています。高齢者の方も多いので、いろんな人生観を学ぶこともできますし、価値観の違う方々と触れ合えます。

是非この警備を経験して、これから社会に旅立っていくステップにしていただきたい。また、それで警備の仕事がいいなと思っていただけたら、これからの警備業界を担う人物になってもらいたいと思います。

宮藤:いろいろ聞かせて頂きました。ありがとうございました。