ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

内田明宏
御業合同会社 代表

内田明宏UCHIDA AKIHIRO

2018年、イノベーションとなるようなサービスを生み出したいと、エンジニアとして勤めていた前職を退職、フリーランスに。
プログラミングスクールのメンター(講師)の体験から、「人に教えることが好きなのかもしれない」と考えるように。そして、エンジニア、プログラミング業界には解決すべき問題が多く存在すると感じ、御業合同会社を立ち上げ。プログラミングスクール「TECH QUEST」を開始。

2021年6月4日(金)

ゲスト内田明宏

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、御業合同会社 代表 内田明宏さんです。

宮藤:御業(みわざ)という会社の名前ですが、由来は何かあるんですか?

内田:これがちょっと厚かましいというか、気が引けてしまうのですが、「神の御業」と言われる時の「御業」というもので。神々しいというか。まだまだぺーぺーではあるんですけども。

宮藤:名前は大きく、ドーンといったほうがいいですよ!御業合同会社さんは、どんなことをされている会社なんでしょうか?

内田:主に教育事業でプログラミングスクールを運営しておりまして。それを軸に置きつつ、プログラミングでのシステム開発をやっている会社です。

宮藤:プログラミングスクールをされているとは思わなかった。

内田:今日は和服で(笑)

宮藤:お着物でいらっしゃったので、まさかプログラミングスクールと言われるとは。ひっかけ問題みたいな(笑)

内田:みんなには「文豪だ」とか言われます。

宮藤:もともとは、エンジニアをされていたんですか?

内田:そうですね。ややこしい経歴なんですが、バンドとかをやっていまして。ミュージシャンを目指してやっていて。

宮藤:確かに、東京事変にいてもおかしくないですね。

内田:確かに(笑)そのきっかけで、並行してプログラミングとかにも興味があって、バイトから始めたんですけど。

宮藤:音楽から、パソコンというかコンピューターのほうに?

内田:大学の時にプログラムを勉強してまして、大学にいる時は「音楽やるぞ!」みたいな感じだったので、プログラムは全然できなかったんですけど。でも、せっかく通ったんだったらもうちょっとできるようになってから卒業して、バンドやりながらちょっとでもプログラムできるようになったらいいなという気持ちでいて、気づいたら音楽やりながらやって4年経ったところで「意外とできるようになったな」という。

宮藤:そして、今やスクールをやられているってことですか。

内田:「TECH QUEST」という名前でやっております。「人は誰でも必ず成長する」というポリシーでやっておりまして、そのあたりがまさに自分の経験で、大学にいた時に全然できなかったんですね。

宮藤:そうか。

内田:その時は、「自分はプログラミングに向いてないな」と思ったんですけど、意外とやっているうちに「わかるようになってきたかも?」と。昔って数学とかやっても、1回解けなかったら「自分は頭悪いな」みたいに思っちゃうことがあったんですけど、やっているうちに「できる」という体験を初めてしまして。「できないことができるようになる」「できるものは、最初からできるわけじゃないんだ」と。そこも踏まえて「人は誰でも必ず成長する。できるようになる」ということで、今は3ヵ月のスクールさんが多いんですが、我々としては特に制限は設けず。

宮藤:期間を設けずにね。

内田:むしろ、半年とか1年とかじっくりやって、全然わからなかったとしても安心してもらって、「6か月とか1年間ぐらい頑張ってみましょう。そこでしっかり力をつけましょう」いうのがコンセプトになっています。

宮藤:今、小学校・中学校でもパソコンを使って授業をやったりとか、プログラミングは必修になってたりしますよね。将来どういうことをしたいと思ったら、プログラミングが必要なんですか?

内田:これが意外と思われるかもしれないんですけど、私個人としては、みんなやったほうがいいかなって思っているんですね。これって、「仕事にしなくても」という意味合いで今話をさせていただいたんですが、それこそスティーブ・ジョブズが「プログラミングって何なのか?」をインタビューで答えていた内容が「プログラミングというのはアプリを作ることではなくて、考え方を学ぶことだ」っていう。

宮藤:思考の?

内田:そうです。プログラミングは、ロジカルシンキング・論理的に「なんでそう思うか?」「なぜなら、こうです」っていうのができないとプログラムが書けない。一向にエラーが直らないみたいなことになってしまうんですね。自分もプログラムやるまでは雑な考え方というか、「なんとなく、なんとなく」みたいな考え方ばかりだったんですけど、プログラムやってからは「あっ、こういう理由があるからこっちのほうがいいよね」と。

宮藤:ああ、なるほどね。

内田:それって、プログラムを書く以外の仕事でも、なぜそうやったほうがいいのかがちゃんと伝えられる。喋りに、もしかしたら活きてるかもしれないですが。

宮藤:それって頭がやわらかい時期のほうがよかったりしないんですか?

内田:個人的には、やわらかいほうが良いにこしたことはないとは思いますが、それこそエンジニアとして就職された我々の生徒さんとかは、31歳とか32歳の方でもいらっしゃいます。それこそ1年ぐらいかかったんですが、「全然わからない」「パソコンの使い方もよくわかっていない」というところから、しっかりプログラムを書いて、それがお仕事に繋がるように。

宮藤:その人はエンジニアになったんですか?

内田:そうですね。誰でも成長できる。時間をかけて。

宮藤:それは素晴らしいですね。要するに、思考を変える、よりよくすることがプログラムを学ぶ理由になるとしたら、別にそれは何の職業に就くにしても、人として必要なことですもんね。

内田:そうですね。プログラミングが必修になったっていうお話で、英語も必修になりましたよね。で、こういう「ラジオ」や「テレビ」、「タクシー」も全部英語なんですけど、必修で全く英語やってなかったら結構困ることって多いと思うんですね。

宮藤:うんうん。

内田:「キャップ」や「ハット」がわかるみたいな感じで。たぶん、プログラミングの単語が、これから当たり前のように使われるようになるんじゃないかなって。「みんな必修でやってるからわかるよね?」という。そういう意味でも、大人になってもやっていくのは大事なのかなって思っていますね。

宮藤:事前アンケートに「“実際に社会に出てから必要とされる能力”は、大学で学べることとは乖離していると感じる」と書いてありますが、まさにそういうことですよね?

内田:そうですね。自分も大学は行ったんですけど、「どこでこれ使うんだろう?」っていう授業が。

宮藤:そんなんばっかりですよね。

内田:それが4年間もある。飲み呆けている大学生とかは、企業からすると「なんか最近の学生は全然動けないよね」「自分で考えられないよね」とか言われちゃう。全員が全員とも言えないですけれども。

宮藤:なるほど、その時にプログラミングを勉強することで、考え方が変わったりだとか。

内田:個人的には、無理やり書かされたレポートとか、第二外国語もすぐに忘れてしまって…。それよりも、4年間かけて半強制的に300冊ぐらい本を読まされたほうが全然頭の知識が変わるかなと。

宮藤:そうですね。

内田:自分もここ3、4年で800冊ぐらい頑張って読んで。読む前と読んだ後で結構変わったなと思うんですよね。そういうのを大学生の時に「じゃ、この本を読んだんだったら、これやってこの本読んでみたら?」とか、「プログラミングでこういうアプリ作ってみたら?」とか。もっと自由に。それでいて、営業の仕事になろうが、アパレルショップで働こうが、プログラマーになろうが、教育者になろうが、何になろうとも読書やプログラムの頭の使い方は活きてくるとは思うので。

宮藤:なるほどね。

内田:若い段階ってまだ未来がわからないので、自分の好きなことを探す時間にできたらいいのかなと思います。ゆくゆくは、大学に行くために予備校に通うのではなく、予備校の代わりに我々が開くようなスクールに来てもらって、大学の試験対策ではなく、もっといい人生だったり、自分が本当になりたいものになるための勉強をやる。大学に行きながらでもいいと思いますし、大学の代わりに我々のところに通ってもらって、「本当の自分になる」場所を作っていけたらいいなと思います。

宮藤:プログラミングを学ぶことが、そういうふうに認知されるといいですよね。さて、そんな内田さんが、“業界のここを変えたい!”と思う点を教えてください。

内田:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、プログラミングスクールはたくさんありますが、実際に質の高いシステムを作り上げるための知識や技術まで教えているところは、ほとんど存在していないんです。

宮藤:どういうことですか?

内田:ほんのさわりのところだけを教えている感じですね。英語の「How are you?」や「Hello」みたいな。ちょっと毛が生えた程度で「一緒に英作文作ってみましょうね」っていうので、ちょっと作文を何枚か書いた程度です。

宮藤:すぐに会社で活かせるような何かが学べるわけではいと。だけど、それでも肩書にはつくわけですもんね。あれ、エンジニアってそもそも資格ってないんですか?

内田:それが…悪いところだったりもするんですけど、私が一緒にお仕事した方で「えっ、こんなプログラム書いちゃうんだ」みたいな、汚いプログラムと言いますか。あまりいいプログラムじゃないと自分としては思ってしまうようなコードを書くのが、5年10年やっている方でもいまして。

宮藤:いるんだ。

内田:「資格がないから」とか、「学習の仕方が体系化されていない」っていうのが、自分としては原因だと思っています。既にエンジニアとして働いている方でも「もっと自分の力を伸ばすためには、こういうことを学ばなきゃいけなかったんだな」っていうことを伝えていけて、「ここで学んでる人たちって、ちゃんと力があるエンジニアだよね」って人たちを輩出できたらいいなと思っています。

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