ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

若山健太郎
株式会社ワカヤマ 代表取締役社長

若山健太郎WAKAYAMA KENTARO

1982年生まれ。福井県出身。
2005年 オレゴン大学ビジネス学科マーケティング専攻卒。帰国後 眼鏡フレーム製造の専門メーカーに入社し、プレスや切削加工など眼鏡製造の基礎を学ぶ。
2008年 ワカヤマ入社、16年より代表取締役社長に就任。

2021年4月2日(金)

ゲスト若山健太郎

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、株式会社ワカヤマ 代表取締役社長 若山健太郎さんです。

宮藤:株式会社ワカヤマさんは、福井県の鯖江市にあるそうですが、鯖江といえば…眼鏡!

若山:そうですね。

宮藤:僕、3年ぐらい前ですかね。自慢するわけじゃないんですけど、2017年のメガネドレッサー賞をいただきまして。それで、大量のフレームをいただきました(笑)

若山:そうなんですね(笑)

宮藤:もう、「好きなのとってっていいよ!」みたいな。見本市みたいなところで。

若山:ご迷惑をおかけしました(笑)

宮藤:いえいえ。マイケルジャクソンみたいに「これ、これ、これ」って言って。結局レンズを入れてないから、僕目悪くないんで…。本当にね、ありがとうございました。そんな、鯖江市にあるワカヤマさんですが、業務内容を教えていただいてもよろしいでしょうか。

若山:うちはですね、工場なんですけど、実はものづくりは全然していなくてですね。

宮藤:あっ、そうなんですか?

若山:はい。うち、メッキと塗装とやってまして。だいたいお客さんが製品を作って、それをうちに入れてくれると。今、私眼鏡しているんですけど、これ僕は金メッキとブラウン塗装のグラデーションにしているんですけど。

宮藤:あっ!そうなんだ!確かに塗装してますね。

若山:こういうふうに、色を付けるのを仕事にしています。なので、実は僕も全然目が悪くないんですけど、今日はつっこまれないように眼鏡してきました。

宮藤:なるほど。鯖江の人って、「鯖江といえば、眼鏡ですね」って、かなりの確率で言われますよね?

若山:そうですね。今は、認知度的には50%とか言われていますので。

宮藤:眼鏡って、どれぐらい鯖江で作られているんですか?

若山:一応、眼鏡の日本の総生産量の95%程度とは言われています。だいたい、クラスの半分ぐらい…半分は言いすぎかな。でも、眼鏡関係の仕事をしている家が多いですね。

宮藤:すごくないですか!?眼鏡って、なんでそんなに鯖江で作んなきゃいけないの!?っていうぐらい、作ってますよね。

若山:ただ、日本の「消費量」でいうと、やっぱり中国や韓国から安い値段でいっぱいきています。でも、僕らが作っているのは、例えばこれもだいたい45,000円~50,000円するんですけど、ブランド品っていうやつですね。

宮藤:それをコーティングするっていうのは、どういう目的なんですか?まず、オシャレですよね。

若山:そうですね。当社に入荷されるときは、白枠っていうんですけど、銀色のフレームです。それを金メッキにしたり、金メッキだけだとおもしろくないので、部分的にマットブラックにしたり、ピンクにしたり。

宮藤:へえ!

若山:色でも全然売れ行きが違います。

宮藤:そうなんだ!そして、眼鏡だけじゃないんですよね?やってらっしゃるのは。

若山:そうですね。眼鏡みたいに、人の肌に触れる製品として四六時中つける、強度の強い塗装とかメッキを求めるもの。例えばアクセサリー、医療品、美顔器とか。

宮藤:体に触れるものだ。あれは、全部塗装されているんですね。

若山:メッキか塗装かはしないと、ただのアルミの棒とかじゃ嫌じゃないですか。

宮藤:うんうん。使っているものには塗装をされているわけで、それをやられている人がいるってことですね。

若山:そうですね。

宮藤:そういうことか。最近ではコロナもあって、みなさん肌に触れるものにはより気を遣ってますよね。

若山:そうですね。当社でも、「抗菌・抗ウイルスコートしてください」っていう問い合わせが多くてですね。とてもじゃないですけど、うちだけではできないと思いましたので、新しい商品も今リリース中ですね。

宮藤:そうなんですか。どういったものなんですか?

若山:中小企業っぽい名前で…「ニンジャコート」っていう、今手元にあるんですけど。

宮藤:「忍者」関係ないですよね?

若山:いや、忍者はあれですよ!やっぱりかっこいいじゃないですか(笑)

宮藤:あっ、そういう理由なんだ(笑)

若山:でも忍者って「隠れながら目に見えないところで人を守ってくれている存在」というか。そういう触れ込みでやらしてもらうと…(笑)これを見ていてほしいんですけど、本当に簡単にコーティングできます。こうやってシュッシュッとして塗るだけで、抗菌・抗ウイルスコートができちゃうんですよ。

宮藤:えぇ!そのスプレーで?除菌スプレーみたいな小さいやつですよね?

若山:はい。これにうちで開発した抗ウイルス塗料を入れてみました。

宮藤:なるほど。抗菌もされているし、保護もされている。触って手についても問題ない?

若山:問題ないですね。そもそも眼鏡屋さんから「抗菌・抗ウイルスコート作ってくれ」と言われてたんです。色々調べますと、日本の「抗菌」とか「抗ウイルス」っていう定義が、24時間後に1/100になっていればいいよっていう程度なんですよ。

宮藤:えっ、24時間後に1/100じゃ、時間かかりすぎじゃない?

若山:「かかりすぎだよ」と私も思ったので、一般的な人の感覚で10分後ぐらいにはその1/100になっていてほしいなということで、そういう抗菌・抗ウイルスコートを作ってみました。

宮藤:っていうことは、効き目が強いということですか?

若山:そうなんです。強いんですが、これは実は大学の先生が長年研究していた技術を使わせていただいているので、人間の肌にはやさしくて、かつ、ウイルスにはしっかり効くっていう配合を。私も教えていただけないぐらいブラックボックスなんですけど、大学のすごい偉い先生が考えたものを使わせてもらっています。

宮藤:「ニンジャコート」、すごいですね。

若山:ただこれ、透明で塗装されているか、されていないかわからないので、お手軽にわかるような検査液も作ってみたんですよ。これがですね…

宮藤:今、左側は「塗装されている」ですよね。

若山:「されてる」ですね。今、「されている」ところは、どんどん…

宮藤:青くなった!

若山:青く着色したんですね。で、「してない」ところは、何もつかないんですよ。

宮藤:これをやれば、ちゃんとコーティングされているよってことがわかるってことだ。

若山:そうです。たった0.2ミクロンなので、1万分の2ミリの膜しかついてないんですよ。目に見えない。なので、着色してみましょうっていう検査液、チェッカーもつけてみました。

宮藤:これは、物に対しての抗ウイルス・抗菌ですよね?

若山:そうですね。で、これ青くなっちゃったので、もう1回このニンジャコートを使って拭きますと…

宮藤:拭き取れるんだ!

若山:拭き取れます。元通り!

宮藤:なんか、通販番組みたいになってきましたね(笑)すごい、ありがとうございます。

宮藤:そんな若山さんが、地方で会社を切り盛りされているからこそ感じている葛藤があるそうですが、教えていただけますでしょうか。

若山:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、鯖江の中小企業はとってもすごい技術を持っているんですけど、なかなかビジネス展開がうまくいかないんですね。

宮藤:ああ…。やっていけない会社も結構多い?

若山:そうですね。やっぱりこのコロナで眼鏡の売上って結構落ちてまして。

宮藤:えっ!?

若山:眼鏡って対面販売じゃないですか。

宮藤:ああ、そっか!

若山:なかなか新しい眼鏡を買ってくれるお客さんが少ないらしく。

宮藤:でも、「ニンジャコート」もそうですけど、すごい技術が色々とあるじゃないですか。他にもあるんですよね?

若山:他にも、例えば、ここに置いている板なんですけど、ここには当社のクロスガードという「傷修復塗料」という、傷が直る塗料を塗っています。

宮藤:傷が直る塗料!?

若山:はい。で、こちらは、普通の自動車用のクリアコートを塗っているんですけど、この金属のブラシでガーっとこすってみますと、このツヤのところがいったん傷はつくんですけど…

宮藤:あっ、今なくなりましたね。なんともない。

若山:同じように傷をつけたんですけど、傷修復塗料を塗ったところだけ傷が治っていく。

宮藤:「治っていく」ってすごいですね。これも、眼鏡ですか?

若山:はい、もともとは眼鏡用に開発されたものですが、今は文具やドアの取手など、人が触れる製品に多く展開していますね。

宮藤:なるほど。じゃ、人にやさしいんだ。

若山:人にやさしいというのを、うちのテーマにしてますね。

宮藤:そうなんだ。

若山:すり傷がつきにくいから、ばい菌も隠れる場所がなくなって清潔が長続きなんですよ。

宮藤:あぁ、なるほど。こういう、他は誰もやっていない技術なわけですよね。開発していない技術。

若山:開発していないというか、すごく手間なんですよね。で、開発はしてもそれを今このように人に伝える能力が、田舎に住んでますとなかなか口下手であったりとか。私の会社も田んぼの真ん中にあるので、なかなか大声出しても隣の家に届かない。やっぱり大きい声で宣伝しないとね。

宮藤:「こんな技術があるんだ!」っていうことを広めるノウハウがね。

若山:やっぱりみんな、技術を作るとか、ものを作るのに一所懸命すぎて、「いいですよ!」とPRするのに時間が割けないんですよね。

宮藤:なるほど。そして、事前のアンケートに書いてありますね。「3年前からデザインを勉強した学生を採用して、自社の存在、技術を世間に発信できるように地盤を固めている」と。

若山:そうですね。当社の持っている技術をちゃんと人に伝わる形にパンフレットにしたり、ホームページにしたり。情報を加工して発信する課を作りました。

宮藤:どこにいたって情報は入ってくるわけだから。洗練されている方がいいし、わかりやすいものが見られた方がいいですもんね。

若山:はい。『伝えなければ、ないのと同じ』ってスティーブ・ジョブズさんも仰ってましたしね。伝えるって大事なんですけど難しいので、そこにちょっと今挑戦してるところですね。

宮藤:なんかさっき聞いたら、求人に関するデータも、何かあるらしいですね。

若山:そうです。福井県はなぜか有効求人倍率が日本一悪いという。

宮藤:有効求人倍率が悪いってことは…

若山:働いてほしい会社がいっぱいあるのに、働きたい人が少ない。

宮藤:働きたい人が少ない!?

若山:採用したくても、会社が人を採用しにくいっていうことですね。

宮藤:なるほどなるほど。なんで福井なんですかね?

若山:なんでですかね?私が聞きたいですね(笑)田舎すぎるっていうのがひとつあるのかな、と。

宮藤:でも、幸せの度合いが一番高いのが福井だという調査結果もあるそうですね。

若山:そうですね。

宮藤:あんまり焦っていないっていうか、楽観的なんですかね?

若山:楽観的なのと、あとは我が強い人が多いって聞きますね。社長になる人の割合が、人口的割合ですごく高い。なので、みんな自由気ままにやって幸せなんじゃないですかね、という私の見解ですけど。

宮藤:でも、それだと会社経営される方としては、ちょっと困りますよね…(笑)

若山:でも本当に、県民性としては北陸の雪国の人たちなので、すごく真面目で愚直な方が多いです。こういった眼鏡みたいな、昔は眼鏡のネジ1本から手作りで作っていた県民性なので。

宮藤:よく考えたらそうですよね。「眼鏡作ってます」って言ったって、パーツパーツは別のところで作ってるわけですもんね。

若山:そうですね。ですから、このちっちゃいちっちゃい1ミリに満たないネジを作っている会社、本当にネジばっかり作っているんですよね。

宮藤:ですよね。

若山:で、レンズを作っている会社。あとは、材料をちゃんとストックしておく会社から、多岐にわたって眼鏡という産業も色んな人に支えられています。

宮藤:チームワークですね!勉強になりました。ありがとうございました!

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