ビジネスシーンでイノベーションを起こしている経営者たちと、
クリエイティブの世界でイノベーションを起こしてきた宮藤官九郎との異業種対談企画。

今回のゲスト

山本賢治
山本土地家屋調査士事務所/株式会社グランドデザインオフィス 代表土地家屋調査士/代表取締役

山本賢治YAMAMOTO KENJI

2003年 広島県立広島商業高等学校卒業/地元の電気屋に就職
2006年 電気屋を退職しバイト先クラブの黒服に
2008年 土地家屋調査士法人倉本合同事務所 就職
2017年 株式会社グランドデザインオフィスを設立
2018年 山本土地家屋調査士事務所として開業

2021年9月24日(金)

ゲスト山本賢治

TBSラジオで放送中の「宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど」。パーソナリティは、宮藤官九郎さん。

日本の経済を動かす経営者や団体の代表の方に、哲学や考えを聞きながら、知られざる業界の実情に迫っていく「Innovative Lounge」。

お迎えしたのは、山本土地家屋調査士事務所・代表土地家屋調査士で、株式会社グランドデザインオフィス・代表取締役 山本賢治さんです。

宮藤:ええと…、「土地家屋調査士」って何ですか?

山本:弁護士さんとか、司法書士さんとか、税理士さんと同じ士業という扱いの国家資格で、不動産の登記を法務局に提出する仕事です。主には「境界確認」といって土地の大きさを測ったり。土地の境がわからなくて紛争になった場合には、弁護士さんと一緒に間に入って、当事者の仲介役をすることもあります。

宮藤:あ~。確かにそうですよね。「ここが私の土地です」という時、専門家じゃないと適当なことになっちゃいますもんね。

山本:「不動産登記法」という法律があって、その法律に基づいた判断を僕らがさせていただいて、当事者の認識を一致させるような感じですね。他に、建物の登記もしています。例えば、「土地も合わせて家を買いました、家の部分を建てました」というケースで、二階建てとか三階建てとか、木造とか鉄骨とか、どういった形のものを建てたかを、僕らが測量して、その結果を法務局に「登記される建物はこういったものです」と。そのお手伝いもしていますね。

宮藤:他に特に紹介したいポイントはありますか?

山本:珍しいと思うんですが、ドローンを測量の分野で使っています。

宮藤:ええ!見たことない。測量ってよくやっているじゃないですか。棒を立てて、写真とかボードみたいなものを持って。あれですよね?

山本:そうです。一人は機械を覗いているんですよ。もう一人はポールって言ってポールに鏡が付いているんですけど、それを覗いています。それで光が飛んで、光のスピードは一定なので、それが飛んで返ってくる時間・角度・距離で位置を測っているんです。

宮藤:ええっ。それ、すごいですね。それで距離が出るんですか?

山本:出ます。それが今までなんです。今までは、光をあてて返ってくるような測量機器を使って。

宮藤:あんなに長いことあの仕事をしている人を見ていて、「何を見てるんだろう?」って思ってたけど、光を見ていたんですね!しかも、ドローンを使っているということは、3Dになるってことですか?

山本:そういうことです。今までの測り方だと、どうしても水平に前へ向けたり、横へ向けないと、とりづらい。目の前に障害物があると、それを貫通しては見られないんです。でも、ドローンだと上空から見えるんですよ。ドローンにも2種類あるんですが、写真を撮っていくドローンと、レーザーを実際に落としていくドローンがあります。

宮藤:それは、巻き尺で測るより正確なんですか?

山本:正確です。巻き尺もそれなりにですけど。巻き尺は人が引っ張るじゃないですか。ちょっと相性の悪い相手だったりすると、引っ張り合って少しその誤差は出ますよね。

宮藤:そうかそうか。鏡は動かないですもんね。すごい勉強になります。そんな山本さんの経歴を拝見すると、この職業に就くまでにいろいろあったということで…。

山本:高校時代に電気屋さんでバイトを始めて、高校卒業後、そこにそのまま就職することになりまして。家族経営のところで、そこの息子さんが同じ年ぐらいの方で「帰ってくる」ということになった時に、若い人が二人はいらなさそうな雰囲気がちょっとありまして(笑)そうなると僕の場所がないんじゃないかと思って、何か違う世界でバイトをしようと…。

宮藤:気を遣いますね。言われたならともかく、まだクビにもなってないのに。

山本:そうですね(笑)その新しいバイト先が、クラブですね。静かにお酒を飲むほうのクラブ。そこのママさんとか、そのクラブの会計を見ていた税理士さんに出会って、面白いなと。

宮藤:今のところ、測量全く関係ないですよね(笑)それで?

山本:どうしても昼と夜が逆なので1、2年経った時に「昼のほうで何か成功したい、手に職を持ちたい」と思い始めました。それで、クラブにいらっしゃる常連の先生が、たまたま僕の地元で開業されている土地家屋調査士の先生だったんです。その先生は土地家屋調査士と司法書士の資格を持っているダブルライセンスの方で、「僕も資格を取りたいので、弟子入りさせてください」とお願いをして。

宮藤:要するに、夜な夜なクラブに来る人がいて、「この人は何をやってこんなに儲けているんだろう?」って聞いたら、土地家屋調査士だと。「これはいい!」って思ったってことですよね?

山本:そうですね(笑)それが実現して、翌年就職することになりました。土地家屋調査士は、土木とか工業系の方が多く目指すんですが、僕は商業科出身で、全く違う分野から興味が湧きまして。

宮藤:なるほどね。

山本:就職して3、4年で、なんとか資格が取れまして。

宮藤:知識がない状態から、よく資格取りましたね。

山本:ありがとうございます。土地家屋調査士の仕事は、書面ばかりじゃなくて、「境界確認」とか、その人の隣の方に説明するコミュニケーション力が必要です。そういったところが自分に向いているかなと。業務内容は頭に入りやすかったですね。

宮藤:それでは、山本さんが感じる業界の問題点、ここを変えたい!と思うことを教えてください。

山本:宮藤さんに言ってもしょうがないんですけど、とにかく「土地家屋調査士」の認知度が低いんです。

宮藤:はい。僕も全然知らなかったです…。

山本:「土地家屋調査士です」って言って仕事をもらうんですけど、不動産屋さんからも「測量士さん」と言われたりしてですね。

宮藤:違うのに。

山本:「土地家屋調査士」っていう資格で、法務省管轄で法務局の直轄の資格なんですけど、「測量士」は国土交通省なんですよ。なので、省庁がまず違うんですよね。

宮藤:どこまでも勉強になるな。省庁が違うんだ。

山本:どちらかというと、「土地家屋調査士」は不動産登記法っていう法律に沿って物事を進めている業種ですね。

宮藤:なるほど。知られていないことで起こるデメリットはありますか?

山本:主力業務として、僕らがお客さんから依頼を受けて隣の土地との境を確認する時に、立ち会いのお願いに行くんですよね。で、依頼者の方から依頼を受けて「この日の立ち会いをしたいと思うんですけど、どうでしょうか」と、隣のお宅に挨拶に行くんです。そうすると大概の方々がインターホン越しで不動産の営業とか、何かのセールスと間違えられます。「土地家屋調査士」という言葉をお伝えしても全然伝わらなくて…

宮藤:怪しまれる?

山本:そうなんですよ。「もう結構です」とか言われますからね。「土地家屋…」まで言ったところで。最後まで言わせてほしいんですけど、途中で「いや、うちは結構です」と。

宮藤:なるほど。「土地家屋調査士」を受験する人はどれぐらいいるんですか?

山本:年間だいたい5000人ぐらいが出願しています。

宮藤:それって多いんですか?少ないんですか?

山本:少ないと思いますね。合格者はそのうち400人ぐらいなので。

宮藤:年間400人しか生まれないということですね。こんなに土地はあるのに。さっきの先生じゃないですけど、上の人たちはどんどん高齢化していきますもんね。

山本:そうですね。全国で16000人ぐらいいるんですけど、今は平均年齢が56歳なんですよ。

宮藤:へえ。ちょっと目とかキツいですよね。図面を書く時とか。

山本:そうですね(笑)現場の測量で50代60代の方と出ることがあるんですけど、やっぱり山に登ったり、ブロック塀に登ったり、真夏でも出ないといけませんし。

宮藤:体を使う仕事ですもんね。若者を取り込んでいこうということで、何か取り組んでいることはありますか?

山本:私の事務所は比較的若い事務所で、平均年齢も30代後半です。そういうこともあって、今までの書類でのやりとりじゃなくて、デジタル化していこうと。前の事務所は、紙で書いたものをファイリングして本棚に収めていましたが、それだと問い合わせがあった時に紙を探すだけで時間がかかる。そういうことも、クラウド上にデータをあげて、タブレットなどで簡単に見られるように効率化を図っています。ドローンやレーザースキャナーなど、新しい測量の仕方を僕らが率先してすることで、若い方に「こういう新しいことをやっていて、やりがいが感じられる」と思ってもらえるよう、取り組んでいます。

宮藤:知らない話がたくさんありました。今日は、「土地家屋調査士」という仕事を覚えて帰ります。ありがとうございました。

山本:ありがとうございました。

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